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「政局・政府首脳・National Diet」~政治に関わる不思議な用語

 鳩山総理が辞職をするということで、政局は一気に動き始めました。目の前でリアルに政治が動くときですから、小学校の高学年以上には注意を向けさせておくといいかと思います。今はわからなくても、「ああ、あのときのアレはこういうことだったのだ」と思い出せれば、知識の定着はずいぶん楽になります。

 ところでいま使った「政局」という言葉、意味は分かりますか。

 辞書で調べると「政界(政治)の動き」とか書いてあり、たとえば「2010年の政局を占う」といった場合にはよく意味が分かります。しかしこの言葉には「すぐに政局にしたがる」とか「選挙の結果によっては、政局になる」といった使い方もあり、これだと意味が通らなくなります。

 実は「政局」には二つの意味があり、一方は「政界(政治)の動き」ですが、もう一方に「政権交代、あるいは政権交代の話」といった意味があるのです。したがって上の例は「すぐに政権交代の話にしたがる」「選挙の結果によっては政権交代にならざるを得ない」といった意味になります。したがって「政局は一気に動き始めました」は後者の意味ということになります。

 同様に、政治の用語には一種の符牒のようなものがあって分かりにくい側面があります。たとえば「政府首脳が〜と言った」と言えば政府の誰かお偉方がナイショで語ったことだろうという気がしますが、正確には「内閣官房長官がオフレコで〜と言った」という意味です。

 発言者が官房長官と分かっているならそう書けばよさそうなものですが、ここが政治の妙で、官房長官が責任を問われない範囲でマスコミをリードしたり、それとなく世論の反応を見たいというときに「オフレコだよ」と言ってテープ・レコーダー等を控えさせて情報を流すのです。マスコミの方もどうしても情報が欲しいので、暗黙の了解に応じます。

「政府筋」または「政府高官」と言えば3人いる「副官房長官」のうちの一人。「〇〇省首脳」と言えば普通は事務次官ですが稀に大臣その人である場合もあります。「〇〇省幹部」「○○省首脳」は各省庁の局長クラス、「〇〇省筋」となると局長より下の幹部だそうです。

 政党関係では「党首脳」が「幹事長」または「総務会長」。その他「権威筋」はその問題について決定権を持っている人。「消息筋」は「決定権はないが、その問題について知識を有し解析力のある専門家」。ただし国名がついての「消息筋」だとたいていは「在日大使」のことだといいます。

 いずれにしろ、オフレコ発言というのは非常に思惑をもって出されるものですから、裏読みをしながら聞くと面白い場合が多いのです。

 政治の用語は英語の場合もかなり不思議です。政党は「パーティ」、内閣は「キャビネット」、裁判所は「コート」。いずれも私たちの知っている「パーティ」や「キャビネット」や「コート」と同じ綴りです。

 私は学生のころ、東京の永田町付近を歩いていて「The National Diet Library」という看板を見つけて感動したことがあります。
「国立ダイエット図書館」・・・東京ではダイエットの本だけで巨大な図書館ができるのです!と思ったらこれが「国立国会図書館」。日本の国会は英語で「the National Diet」というのです(デンマークスウェーデンも同じ。National Dietと大文字で書くのがミソだそうです。ちなみにアメリカ合衆国議会はCongress、イギリス議会は Parliament。議会制度の内容によって名前が違っているようです)。

 不思議ですね。