成田空港などで新型インフルエンザの水際作戦が展開されたころ、とても印象的な映像がテレビに流れました。それは集団感染第一号を疑われた高校が結局Aソ連型だったと判明した時の、校長先生の涙でグチャグチャになった顔です。
ペストやコレラを持ち込んだというような話ではなし、そこまで大変なことか?という気もしましたが、その後、実際に第一号を出した学校の叩かれ方を見ると、先の校長先生の恐怖と安堵は自ずと分かろうというものです。
5月の時点と異なって、比較的弱毒だと分かってきた現在はそこまで大変ではありません。しかしそれでもこの地域の集団感染第一号校となると、報告書の数も会合も判断も、そして個々の対応も第2号・第3号と比べ物にならないほど多くなります。ですからとにかく第一号にはなりたくありません。うがい・手洗い、よろしくお願いします。
ただしそれとて、そんなに神経質になるべきことではないのかもしれません。実際に学校の責任というものは、地域にウィルスを持ち込んだ家族の責任に比べればはるかに軽いからです。
本校の校長先生のお話によると、最近集団感染で新聞に名を連ねた学校の校長先生のお話によれば、とにかく大変だったのは「その家族を守る」ということだったようです。
いったん集団感染が起これば、最初の家族が叩かれます。学校はもう対応の手順が決まっていますから(3人患者が出れば学級閉鎖など)その通りにやれば問題は少ないでしょう。しかし家族の方は違います。こんな時期にわざわざ旅行に行ったとか、衛生的に問題のある家族だったとか、あることないことが次々とウワサになり、こっぴどく叩かれる可能性があるのです。
最初の感染者・発症者あるいはその疑いのある児童とその家族の扱いについては、十分に注意してください。安易にインフルエンザだということが外に出て行かないよう気を使ってください。言うまでもなく学級閉鎖となれば最初の3人が誰かということは隠し通せるものではありませんが、それでもできるだけのことはしていきたいものです。
いつかこの土地を離れてしまう私たちと違って、これから先もずっとこの土地で暮らしていかなければならない人たちですから。