「訂正!! 企業は積極的に社員を休ませるようになるだろう」~新型コロナと学校②

 やはり企業は社員を積極的に休ませることになるだろうと思い直した。
 会社が丸ごと“屋形船”になると考えたら、
 恐怖でいてもたってもいられないはずだ。
 学校も同じ。
 しかし教師の仕事は分担できるものではないし、代わりもいない。
 同じことは病院にも、一部の役所にも言える。
 みなさん、どうするつもりだ?

という話。

f:id:kite-cafe:20200219073820j:plain(「浅草から見たスカイツリー3」フォトACより)

 

【訂正!! 企業は積極的に社員を休ませるようになるだろう】

 昨日、
「子どもならまだしも、大人だと教員に限らず、『発熱などの風邪症状が出た場合は、・・・仕事を休み外出を控えた上で・・・』なんて簡単にはできそうにありません」
と書きましたが、今日になって考え直しました。
 普通の企業家、管理職なら、風邪症状のある社員を積極的に休ませるだろうと思い直したのです。

 考えてみれば屋形船でのわずか2~3時間の宴会で、あれだけ多くの感染者が出るのです。小さな会社で感染者ひとりが半日も勤務したら、ひとたまりもないのかもしれません。大きな会社でも、各支社、各部署、まるごと新型コロナに持って行かれかねません。

 被害はそれだけでは留まりません。
 一番心配なのは大切な顧客にうつしてしまうことで、新型コロナかもしれないと心配される社員をそれと承知でと得意先に向かわせたとなれば、いかに寛容な相手と言えど容赦はしないでしょう。大げさに言えば恩ある人にヒットマンを差し向けたようなものです。それで得意先の会社が先につぶれでもしたら、その世界では以後生きていけないでしょう。
 私なら許しません。

 というわけで、ちょっと気の利いた会社なら――いやよほど勘の悪い企業でない限り、社員が風邪だと聞けば積極的に休んでもらうよう取り計らざるをえません。そのために事前にテレワークに移行したり、“多少調子が悪い”程度でも報告するよう、社員に徹底するでしょう。
 社会は厳しいというのはそういう意味です。目先の利潤は捨てても、“信用”といった大切な財産を棄てはしません。

 

 【学校はどうだろう】

 翻って、担任教師が「具合が悪い」と言ってきたとき、すんなりと休むように勧める校長が何人いるのか?
 もちろん最初の一人や二人に対しては優しくなれます。しかし三人目からは頭を抱える管理職が出て来ます。代わりがいない上に、欠員分を他の教師で分担するということもできないからです。

 通常、担任の先生が休もうとするときは休業中の授業計画を立てます。
 私もインフルエンザに罹ったときは、夜おそく、大半の先生が帰宅した後の学校へ行って数日分の授業計画を書いたものです。子どものいる日中に来るわけにいきません。

 休む予定の日数分の計画台紙を用意し、時間割に照らして、小学校なら専科の先生にお願いしてある音楽や家庭科の時間を記入し、あとは算数や国語のプリントを用意して、「〇月〇日(〇曜日)第〇時、算数プリント『少数のかけ算(1)』」とか記入します。場合によっては体育や図工を隣のクラスと合同でやってもらいますから、同学年の先生に電話して、
 「〇月〇日(〇曜日)の〇時間目、先生のクラス、体育の授業で体育館を押さえてありますよね。恐れ入りますが私のクラスも一緒に面倒見てください」
とかお願いします。

 中学校の場合は、基本的に教科はプリントと教科書のまとめだけになります。
「プリント『鎌倉幕府元寇』をやらせてください」
とか、
「教科書P48~P51を読んでノートにまとめるようにしてください」
とか言った具合です。
 他の先生と授業を入れ替えてもらうこともありますが、復帰後にお返しすることを考えると、そう多くは頼めません。返すといっても自分の空き時間は1日1時間。時間割の複雑さを考えると、そう簡単に元の戻せるもんではないからです。

 学級担任の授業(道徳や総合的な学習の時間)は、仕方ないので副担任の先生に授業をやりくりしてやってもらうようにします(副担任といっても教科を教える先生ですから、いつでも暇なわけではありません)。
 
 

【副校長(教頭)先生は大変】

 そうした計画書にそって、教室に入る先生を割り当てるのは副校長(教頭)あるいは主幹教諭、教務主任の仕事です(学校の体制によって違う)。

 出張計画や時間割を見て、空き時間の先生を探します。基本的には音楽や理科の専科の先生を最初に入れ、続いて教育支援の講師の先生を入れます。学級担任はできるだけ入れません。というのは学級担任だと“空き時間”といっても実際には児童生徒の日記を読んで返事を書いたり書類整理をしたりと、授業時間以上に忙しい場合が少なくないからです。
 それも限界になると、仕方がないので副校長(教頭)先生みずからが教室に向かうことになります。

 普通の先生の“日中の仕事”は「授業」が大部分ですから夜に回すことはできません。けれど副校長(教頭)先生の仕事は事務処理と営繕(つまり雑用)、それに職員指導ですから、全部を夜中に回すことができるのです。そんなふうに本来の仕事をすべて夜に回している副校長(教頭)先生は意外と多いものです。

 そしてそれでも手が足りなくなると禁じ手を使います。養護教諭や図書館司書、時には校長先生まで動員するのです。
 校長先生なんて制度上は教員ではない(*)ので本来は授業をしてはならないのですが、“地域のおっちゃんが見守っている”という体で置いておくのです。
*教育関連の法規を読んでいると「校長及び教員は」という表記がたびたび出て来ます。つまり校長は教員ではなく、したがって校長に授業をやらせるとその時間は授業時数としてカウントできません。
 
 

【腹をくくれば学校にはやれることがある。しかし・・・】

 ただし、ここまでやって穴を埋められるのは、中規模の学校で、せいぜい休む先生が3人程度の場合。それ以上だと児童生徒が子どもだけで時間を過ごす、本物の“自習”になってしまいます。そんなものを3日も4日も続けるわけにはいきません。

 事態がここまで進んでしまったら校長先生も学校閉鎖を考えなくてはならなくなります。児童生徒はぴんぴんしているのに、職員室で先生たちがうつしあったために学校閉鎖――非常に不本意ですが、そういうことも考えておく必要があるも出てきます。
*もっとも先生が4人も5人も倒れて子どもたち全員がぴんぴんしているという事態も、現実には考えにくいところですが。

 最悪の場合、学校はこのように対処するはずです。学校は覚悟さえ決めれば閉じることができます。
 しかし病院や官公庁はそういうわけにはいかないでしょう。地域にひとつしかない病院だとか小さな役所は、万一に備えてどんな計画を立てているのか、聞いてみたいものです。