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「もう一度おさらい」〜発達障害の用語

 最近「広汎性発達障害だが自閉症ではない」という記述を読みました。深読みすればいろいろな理由が考えられますが、表面的な、一般的なレベルでは誤った表記です。そこで、一度おさらいをしておこうと思います

    1. 自閉症とは、
      (他人と関われない・強調や共感ができない・人の表情や感情を読み取るのが苦手といった)「社会性の発達の障害」
      (言葉がない・言葉が遅れる・オウム返しといった)「コミュニケーションの障害」
      (反復行動やこだわりといった)
      「想像力の障害とそれに基づく行動の障害」
       
      その三つを最大の特徴としています。また障害の様相は「自閉症スペクトラム」と呼ばれるとおり、重度から健常者まで、虹のように境目のない連続体です。

    2. 多くの場合知的な障害を伴っており、その程度によって「低機能自閉」「中機能自閉」と分類し、知的に問題のない場合を「高機能自閉」と呼びます。したがって「高機能」といっても「普通レベル」という意味であって、飛びぬけて能力が高いという意味ではありません(自閉症の中には稀に「自閉症サヴァン」と呼ばれる異常な天才が出たり、受験勉強にハマると超一流大学に進学するような人々が出たりするのでしばしば誤解されますが、「高機能」はあくまでも「知的に問題がない」という意味で、それ以上ではないのです)

    3. 高機能自閉のうち、言葉が出ない・オウム返しといった「コミュニケーションの障害」を持たない人々をアスペルガー症候群と呼びます。自閉症の3大特徴のひとつを欠いているので自閉圏から外さなくてはならないような気もしますが、他の二つの特徴を強く示しているために自閉症スペクトラムの中に含めます。

    4. 「広汎性発達障害というのは難しい概念です。字義通り解釈すると「生活全般にわたる発達上の障害」という何ともつかみどころのないものになってしまうからです。かつてはADHDやLD、レット症候群やその他の軽度な障害すべてを言いましたが、現在では例外的です。
       説明が難しいのですが、医者が明確な診断名をつけたくないときや、「高機能自閉」「アスペルガー症候群」といった分類には意味がないと信じるタイプのお医者さんによって多用されるといった印象があります。

 知的障害やコミュニケーショの障害があるとどうしても目立ちますから、こうした障害のある児童は小学校入学段階の検査で必ず引っかかります。したがって検査の目を潜り抜け、後に問題となるような自閉圏の子はすべてアスペルガーだと考えてほぼ間違いがありません。
 ですから校内について言えば、広汎性発達障害も高機能自閉もアスペルガーも同じなのです。これらを厳密に分類すべきという人もいるかもしれませんが、現場の我々にとって、分けることはそれほど意味のあることではありません。