カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「67歳、独身男性の平均寿命」~ある知人の死

  新聞のお悔やみ欄に同い年の知人の名前を見つけた。
  喪主は友人が務めるのだという。
  家族はどうしたのだろうと思うと、
  また気持ちが薄く暗くなった、
  という話。(写真:フォトAC)

【憂鬱な日々】

 元日この方、というより昨年の秋からですが、なんとなく気勢の上がらない、すっきりしない毎日が続いています。これといって大きな問題が発生したわけではなく、もちろん多少の起伏はあるものの、私自身と家族には穏やかな時間が流れています。なのにすっきりしない。

 年末年始に子や孫が来なかった(配偶者の実家で過ごした)ことも多少は影響していますが、周り順でそうなるのであって、別に問題なわけではありません。来年は昨年と同様、賑やかな正月になりますからどうということはない。年賀状では「年賀状じまい」にだいぶ凹みましたが、それとて大きく気持ちの崩れるいような話ではありません。むしろドナルド・トランプが正式にアメリカ大統領に就任し、その日のうちにパリ議定書から離脱しWHO(世界保健機関)からも脱退、南部国境地帯に非常事態宣言を出し、カナダとメキシコに対する関税の大幅増税を検討し始めたというニュースの方が、心をかき乱します。
 けれど今日の憂鬱は、また別の方から来ています。昨日の新聞の「お悔やみ欄」に、古い知人の名前があったからです。

【ある知人の死】

 それは私の教員生活の最後の三年間に同じ立場で仕事をした人です。さらにその2年くらい前から仕事上で会うことが多かったのですが、とてもダンディーな人で、私などは横着なのでいつもスーツで過ごしていたのを、彼はブレザーでくるのです。シャツもズボンもネクタイも、上手にコーディネートして、何よりも高価そうな革靴が光っていました。
(ほんとうに上手だったどうかは、センスのない私には保証できないことなのですが――)

 初めて会ったその日からいきなり人の懐の中に入ってくる感じで、屈託がないという以上に馴れ馴れしいなあと思っていたら、だいぶ経ってから高校時代の同窓生だったと知りました。私は学習障害的に人の顔や名前が覚えられないので気が付かなかったのです。むしろこちらが失礼でした。

 結婚経験があるのかどうかは知りませんが、付き合いのあった時期はずっと独身で、お母様と二人暮らし。介護の日々が長く続いていたと記憶しています。それがどこかの時点で終了し、あとはどんな生活になったのかと、チラッと頭を翳めたことはあるのですが、それきり彼の私生活について考えることはなくなりました。
 その程度の関係ですから退職後は会うこともなく、年賀状のやり取りさえなかったので気にしなくてもよかったようなものですが、彼の訃報にはひとつ気になることがあったのです。それは新聞の「お悔やみ欄」に記載された喪主が、「友人」だったことです。

 家族ではなく、友人が喪主になることにはいくつかの理由が考えられます。故人が家族と疎遠だったり、家族が高齢や病気などで喪主を務めることが難しい場合、あるいは大親友のような友だちがいて生前から喪主を依頼していた場合など。さらに家族が海外に住んでいるなど物理的に喪主を務めることができない場合もそうでしょう。だから “彼”の場合も素直に納得できる理由で友人を喪主にしている可能性もないわけではありません。 
 母親の介護をしていたことまで聞いていましたが、兄弟や親戚関係の話まではしたことがありません。けれどもし、それ以降ほんとうに独りぼっちだったとしたら、可哀そうな最期だったのかもしれないなと思ったりもしました。

【67歳、独身男性の平均寿命】

 日本人男性の平均寿命はいまや81.09歳です。ところが独身男性に限ってみると、その平均寿命は約67歳。なんと既婚男性よりも14歳も短い計算になります。この差は食生活の乱れや健康管理の不足、孤独感によるメンタル不調などが原因とされていますが、中でも孤独感が強いストレスとなって健康に悪影響を及ぼしている可能性が強く示唆されています。語の本来の意味での「孤独死」です。

 現在の日本では男性の5人にひとりが生涯独身で過ごすと言われています*1。私の教え子の多くが就職超氷河期の世代で、40代半ばを過ぎた独身者が山ほどいます。彼らのことも心配です。かと言って私に何かできる訳でありません。ただ少し憂鬱に時を過ごしているだけの話です。
*1:女性も全体の6分の1強が生涯独身のまま過ごすと言われています。ただし女性の場合は、むしろ独身女性の平均寿命方が既婚女性より長いと言われています。定年とともに人間関係を一気に失ってしまう男性たちと違って、女性たちの方が高齢になっても続けられる安定した人間関係をもっている場合が多いからかもしれません。