カイト・カフェ

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「子どもは学校に来なくていい」~来ていいのは児童生徒だけだ!

 中学校の先生に今年の新入生は「姿勢が悪い」「聞かない」「手紙の交換をしている」「シャープペンシルの持ち方が悪い」「おしゃべりが多い」等々と言われると傷つきます。きちんとやって卒業させたのになあという先生もいれば、分かってはいたけれどできなかったんだよという先生もおられることでしょう。

 教育評論家の諏訪哲二という人は
「子どもは学校に来なくていい。来ていいのは児童・生徒だけだ」
と言っています。「児童・生徒」というのは、「学ぶ意志と姿勢のある者」という意味です。その点で、私たちはやはり、「生徒」を育てそこなったのかもしれません。

 ところで、こうした考えに立ってか、学力世界一といわれるフィンランドには就学猶予があり、きちんと座っていられない、そして勉強をできるだけの生活習慣のない子は1年間特別な学校に進み、きちんと学習ができるようになってから学校に上がってくるのです。ものの本には「これをフィンランドの人たちは排除と考えず、権利と考えている」とありました。そのあたりはやや眉唾ですが、なんでもかんでも学校に入れ、その上で学習させなければならない日本は大変です。

 10年前、私は「子どもたちは『やればできる』と分かっているのになぜ勉強をしないのだろう」というテーマで研究をしていました。
 その結果、
①社会や学校が「何のために勉強しなければならないの?」という本質的な子どもの問いに、有効な答えを用意していない。
②どの程度勉強すればいいかという見通しが持てていない、もしくは成績を上げるために必要な努力が莫大すぎて圧倒されている、
という二つの仮説を証明しました。

 ところがその研究の過程で副次的に第3の原因がわかってきたのです。それは、
③学習習慣がないと、意欲や見通しがあっても絶対に勉強しつづけることはできない、というものです。
 ある意味もっとも大切なのは学習習慣(③)であって、意欲や見通しがなくてもそれのある子は淡々と勉強を続け、その結果好成績にいたってしまうのです。

 何か、本当に考えさせられる結果でした。