カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「品性の問題」

 昨日の朝学校に電話があり、出るとPTA校外指導部長の中沢さんでした。
「今日・・・雪かきしなくても・・・・いいですよね」
 10cmの雪は規定以下ですので「もちろんです」と答えて切ったのですが、今度は私が雪かきに出ようとすると、薄暗い玄関先にヌーッと立っている人がいてビビリました。見ると中沢さんでした。雪をかきながら、一人で学校まで来てくださったのです。

 世の中には、やたらと自分の業績を吹聴したがる人がいますが、その一方で、誰かのために黙々と働く人もいます。さらに上級になると、人に親切にしてその親切にした痕跡を丁寧に消して回るような人もいます。それは利害の問題ではなく、品性の問題です。誰が見ているわけでも誰が誉めてくれるわけでもないが、自分が美しいと思う行為、正しいと思う行為をするという生き方、それが品格なのです。

 私の子どものころはまだ「お天道様(おてんとうさま:宇宙の摂理・特に名前のない神)が見ているよ」という言葉があって、常に陰日向なく正しく生きることが要求されました。しかし今はそういうこともありません。そこで私は、クラスの子どもにはこんなふうにいって話をしました。

「キミたちの両方の肩には見えない神様が乗っていて、一人は司録、もう一人は司命というのです。司録さんはキミたちのした良い行いをみんな記録し、司命さんは生まれてから死ぬまでのキミたちの悪い行いを、全部閻魔様に報告することになっているんだ。閻魔様はその両方をお聞きになって、キミたちを天国にいかせるか地獄に落とすかを決めるんだよ」(その話をすると必ず、肩からホコリを払うように神様を払おうとする子がいるのには参りましたが)。

 陰日向なく、というと最近は「陰日向なく悪い子」がいて困るのですが、私たちの子どもは、常に陰日向なく美しく正しい行為ができる子になってもらいたいものですね。

*奈良の白亳寺に行くと閻魔像の両脇に司録・司命像があります(重要文化財)。しかし本当のところ、この神は司命が検事役、司録が記録係といったあたり障りのない役人らしいのです。