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「女はある日きっぱりと結婚しないことを決め、男はある日突然、結婚することを思い立つ」~息子よ、いまだ独身のオマエと結婚の話をしよう①  

 未婚者の81%~84%に結婚の意思があるという。
 しかし中身は男女で相当に違う。
 女はある日きっぱりと結婚しないことを決め、
 男はある日突然、結婚することを思い立つ。
――という話。(写真:フォトAC)

【結婚意欲はまだまだ旺盛】

 先週12月17日のNHK朝の情報番組『朝イチ』は、結婚がテーマでした(「結婚ってなんだろう?若い世代の今どき結婚観」)。その中で「独身者で『いずれは結婚するつもり』と答えた人」が2021年の調査で男性81.4%、女性は84.3%もいたという調査結果が紹介されました。40年近く昔の1982年は男女ともに95%前後でしたからかなり下がったともいえますが、それでも80%以上です。
 この場合の「独身者」に子どもが含まれていないのは当然ですが、上は何歳までなのか――。50代~60代の独身者まで含めるとすでに結婚を諦めてしまった人もいそうですし、90歳の独身者に将来の結婚の話をするのも妙な話です。そこで調べたら、どうやら数字は「出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)」に基づいており、結婚意欲調査では18~49歳が対象ということになっているようです。妥当な設定と言えます。ただし「80%以上」――と言うより、『いずれは結婚するつもり』と回答しなかった18.6%(男性)と15.7%(女性)の中身は細かく吟味しなくてはいけません。

【「80%以上」の内訳:女性の場合】

 例えば結婚の目的が「子どもをふたりほど儲けて、ごく一般的な家庭生活を送ること」といった限定的なものである場合、40歳を過ぎた女性は急速に結婚の意欲を失っていくはずです。子どもひとりはまだしも、ふたりとなると相当に苦しい目標になるからです。さらに40代も後半になると、ひとり目さえ難しい。
 「皆婚規範(誰もが結婚するのが当然)」がしっかりしていて、独身でいることが恥ずかしいと思われていた昭和時代ならいざしらず、今はおひとり様も少しも苦しくありません。そうなると敢えて結婚する理由がなくなってしまいます。

 40代後半で50歳前後の男性と結婚すれば、すぐに目の前にぶら下がってくるのは義父母の介護。そのために結婚する男性だっていそうです。大きな遺産が見込めそうな場合でも受取人は夫。子どもがいればその子の将来のために頑張れもしますが、なければ何のメリットもありません。
 もちろん夫が受け取った遺産を夫が死んだ際にそっくりいただく、という選択肢もありますが、そのころは自分もすでに70歳~80歳。巨万の富があったとしても、それを楽しむ余力が残っているかどうか――。いや、夫の遺産云々の前に、義父母に続いて夫の介護といった面倒な仕事も入ってくるかもしれません。大いにありそうな話です。
 だったらアラフィフ結婚なんてなくてもいい。女性も50歳近くまで誰にも頼らずに生きてきたとなるとそれなりの収入や地位を得ているものであり、多くを期待しなければそこそこ豊かに生きていける時代です。最後は豊富な資金をすべて投げ込んで、レベルの高い施設で人生を全うすればいい。
 『いずれは結婚するつもり』と答えなかった女性の中には、そんな人も多くいそうです。

【「80%以上」の内訳:男性の場合】

 では男性はどうか。
 男性の場合、「この年齢を越えたら親になるのは難しい」という制限はありません。いつ結婚していつ親になっても問題はありません。
《いつでも結婚できるし、いつでも親になれる》
 そう思っていられるのが男性の立場です。

 実際に芸能界を見ても、加藤茶の68歳、鈴木清順の88歳は別格としても、山本圭壱極楽とんぼ)は54歳、山寺宏一(声優)が60歳、もっと若いところで言えば高橋一生は43歳など、年齢を重ねてからの結婚も少なくありません。
「ひとはいくつになっても恋をすべきだ。そして結婚したくなった時がその人の結婚適齢期
を地で行ったような例です。しかもお相手はすべてかなりの年下。山本は31歳年下、山寺が32歳差、高橋は17歳差。山本はその後すぐに父親にもなっています。

 もちろんそこまでの年の差婚でなくてもいいのですが、40歳くらいまで独身を貫いて十分に遊び、40歳を過ぎて時が来て、その気になったら30歳前後のごく普通の女性を探して結婚すればいい、それまでは自由にやっていたい――そんなふうに考えている人が多いのではないでしょうか? 
それが「独身者で『いずれは結婚するつもり』と答えた人、男性81.4%」の中身で、残りの18.6%の大部分は「結婚しない」と強く決心したわけでも諦めたわけでもなく、「いや、いまから『結婚するつもりがあるかどうか』なんて、そんなの決められないでしょ」とか「今は考えられないね」とかいったお気楽な連中ばかりではないかと、推察するわけです。いまが楽しければいい――。
 しかし人生、そんなにうまくいくものなのでしょうか?
(この稿、続く)