カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「老人が、頭を打ったらどう対処するか」~踏み台を踏み違えて、転んで頭を打った。

 居間から外に出ようとして、
 踏み台を踏み違えて、転んで頭を打った。
 若いころとは違う、何が起こるか分からない。
 さてこんなときはどう対処したらよいのか、
という話。(写真:SuperT)

【踏み台を踏み違えて、転んで頭を打つ】

 うららかに暖かかった先週の土曜日、いつにも増して洗濯をし、30個以上ある鉢植えをすべて居間の前の犬走に並べ、たっぷり水をやりました。――何を言いたいのかというと、居間の南側は、足元には鉢植えの植物がいっぱいあって、目の前には洗濯物がたっぷりかけられていて、外に出るには少し無理な態勢を取らなくてはならない状況にあったということです。
 
 午前中もたっぷり働いたのですが畑仕事も多少あり、昼食を摂って一休みすると、洗濯物をくぐって踏み台に足を起き、そこから長靴を履いて畑へ――という手はずだったのですが、洗濯物と植物の葉の間から差し出した左足が踏み台のへりに乗ってしまい、そのまま体重をかけたら踏み台が跳ね上がってひっくり返り、私もまた足元をすくわれて跳ね飛んで、その場に頭から倒れ落ちたのです。
 
 落ちながら上半身を反転させて右手を窓枠のレール付近につき、何とか堪えようとしたのですが、上半身は回り切っておらず、腕もまっすぐ伸びる前に体重がかかってしまったので「へな」っと折れた感じで、十分に衝撃を抑えきれません。
 よく、大きな事故の瞬間はものごとがスローモーションに見えると言いますが、この時も自分の動きはよく見えていて、
「あ、腕が伸びきっていないから耐えられねぇや」
と思いながら、頭から窓枠のレール付近に入って行くのです。映像もスローモーションですが体の動きもスローモーションなので分かっていても対応が間に合わないのです――で、結果、右目の上の、こめかみよりさらに2~3cm上のあたりを、アルミサッシュの雨戸のレール近くに打ち据えてしまったのです。
 血しぶきが飛ぶといった感じではなかったのですが、額に手をあてるとうっすらと血が広がって、薄く出血したまま止まりません。ぶつけた相手方、つまりサッシュをみると明らかに曲がっています。アルミとはいえ、ある程度強く打ったのでそうなったのでしょう。
 そこで分からなくなりました。

【額のケガは見た目ほど大事でないこともある】

 サッシュはが曲がるくらいですから、よほどの強さでぶつけたと思われます。しかし気絶したわけでも大量出血したわけでもありません。額は何かにぶつかると簡単に割れ、簡単な割にはとんでもないほどの出血がある、それが一般的です。
 私が中学校の教員をやっていた時に担任していたある女の子は、清掃の時間中、よせばいいのに同級生の男子が引っ張るグランド整備用の器具(通称“トンボ”)に飛び乗り、そのまま引かせようとしたところ、これも“よせばいいのに”男の子が手を放してしまい、その瞬間、跳ね上がった持ち手部分が女の子の額を僕打して大きく割れる、という事件がありました。気丈夫な女の子で泣くことも叫ぶこともせず、ちょうど玄関を外に出ようとした私の前に報告に来たのですが、気丈夫すぎてハンパない出血なにの押さえようともせず、「せんせ~」と現れたので大人の私が相当にビビりました。しかし大したケガではなかったのです。
 土曜日の私の額から流れた血液は、それに比べるとまったく少量で、蚊を潰した程度にしかありません。ということは想像以上にしっかりと右手で衝撃を受け止めていた可能性もあります。

【意外な大事であることもある】

 一方、私には正反対の記憶があります。それは中学校2年生の学級担任をしていた時の3年生の学年主任の話なのですが、ゴールデンウイーク明け、1日置いて翌々日から修学旅行という5月5日の早起き野球で、ファウルボールを取りに捕りに行ってフェンスに激突。側頭部をしこたま打ったそうなのですが出血もせず、こぶもできず、打撲の痛みは残ったものの1日大したことなく過ごせたので放置してしまったそうなのです。
 それが連休明けの6日に登校したところ激しい頭痛に見舞われ、けれどその日は修学旅行の最終確認やあれこれあって医者に行く余裕もなかったのです。ところがその時の校長が偉かったのですね。組合活動の関係で決して折り合いの良かったわけではない学年主任なのにケガを放置することを許さず、大きな病院に電話をかけて相手が、
《直接来られても困る、とりあえず近くの診療所で診てもらって・・・》
と言うのを、
「だったら救急車で入れるぞ」
と脅して渋々納得させたうえ、タクシーを呼んで養護教諭と一緒に病院に送り込んだのです。その病院のロビーで嘔吐して、数時間後には開頭手術を終えていました。あと数時間遅れていたら命はなかったと言います。そのとき「人手が足りないから明日から一緒に修学旅行に行ってくれ」と言われたのが私で、だから詳しく知っているのです。
「命より大切なものはない、あとのことはどうとでもなる」と学んだのもそのときでした。学年主任が修学旅行に急遽欠席したところで、どうということはないのです。何とかなる。

【頭を打ったらどうするか】

 土曜日の私のケガも、見た目通りだったらかすり傷ですからお医者さんに行くのは恥ずかしい、しかし見た目に関わらず重傷だったら命に係わる。再三申し上げているように《死ぬのは怖くないが“急死”は問題が多すぎる(やばいことがたくさんある)》のです。そこでMicrosoftのAI副機長(Copilot)に訊くと、

 頭を打った時の対応については、以下のようなポイントに注意してください。

  1. 冷やす: 頭を打った直後は、氷や冷たいタオルで冷やすことが重要です。これにより、腫れや痛みを軽減できます
  2. 安静にする: 頭を打った後は、できるだけ安静に過ごし、激しい運動や活動を避けるようにしましょう。
  3.  観察する: 頭を打った後の24時間は、特に注意深く観察する必要があります。頭痛、吐き気、めまい、意識の混濁などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
  4.  入浴を避ける: 頭を打った当日は、入浴を避けることが推奨されます。体温が上がると症状が悪化する可能性があります。

 これらの対応を行うことで、頭を打った際のリスクを軽減できます。症状が続く場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。

とのありきたりなお答え。

 そこで紹介されたWebサイトを見ると、いくつかの重要な点が分かってきました。
 ひとつは「再度頭を打たないこと」
 おそらく地震の際、本震で倒れなかった家屋が、それよりずっと小さな余震で倒れてしまうように、2度目の打撲が大きな傷害に繋がることがあるということなのでしょう。
 さらに、

 帰宅後でも、以下のような症状が出た際には病院を再度受診しましょう。

  •  頭痛が悪化
  • 頻回の嘔吐(何回も吐いてしまう)
  •  痙攣が起きる
  •  麻痺症状(手足に力が入らない)
  •  意識障害(家族の方が注意してください)
  •  ものが二重に見える
  •  歩行ができなくなる
  •  繰り返し起こる健忘(記憶障害、記憶喪失)

 さらに、さらに、いったん治ったと思っても、眉の上を打った場合には視神経に異状を来すことがあって視力低下や視野の異常が現れることがあり、あるいは1~3カ月も経ってから、頭痛や嘔吐、片麻痺やけいれん・失語などが現れることもあって、その場合は慢性硬膜下出血の可能性が高いのですぐ受信しなくてはならないそうです。クワバラ、クワバラ・・・。

 今日で4日目。最初は昔の500円玉くらいの大きさで痛かった部分は、今は一円玉程度の広さまで小さくなっています。しかし気は休まりません。さらにそれよりも、憂鬱な気持ちになっていること自体が嫌です。足元に注意しましょう。特に年寄りは、ね。