「腸内を探検して、タコをやっつけ、クリップでバシバシ留めてきた(?)」~大腸ポリープを取った話 

 大腸ポリープの手術をした。
 私は他の人が経験できないことをやってみるのが好きだ。
 モニター越しだが自分の腹の中、
 そこで起こったできごとがおもしろい。

という話。f:id:kite-cafe:20210915075917j:plain(写真:フォトAC)

 夏休みが明けたら書こうと思いながら、延ばし延ばしになっていたことを書いています。今日は私が簡単な手術を受けた件についてです。

 ことの始まりは2年前の人間ドッグで便に血が混ざっており、要再検査ということで大腸の内視鏡検査をしたところ、ポリープが3個見つかったことです。ただしその時は“もうしばらく様子を見ましょう”ということで、2年後の検査を指示されて帰ってきたのですが、それを私は「3年後」と日記に認めてしまい、来年のつもりでのんびりと構えていたところ今年3月、本棚からやたらものを取り出して渡したがる1歳9カ月の孫のイーツが、昔の検査記録を持ち出して来て、そこに「2年後」という記載があって慌てたという事件がありました。その顛末については4月に書きました。
kite-cafe.hatenablog.com

 

 

【ガンでも焦らなくていい】

 4月の半ばに再検査を受けて、“やはりこれは切りましょう”ということになったのですが、実施日は7月中旬、それでも一番早い予約なのだそうです。
 4半世紀前、肺ガンを患ったときもそうでしたが、やると決めたら何でもいい、
「さあ、さっさと、スパッと、切ってくんな!」
という感じなのに、そのあとがけっこう長いのです。今回は経験があったので焦りませんでしたが、前回は「手術を待っている間に手遅れになったらどうするんじゃ!」と気が気ではありませんでした。
 今回の大腸ポリープについては事前に「99・99%、ガンではないと思います」といわれていて、その点でも焦りはありませんでした。ガンという病気は案外ゆっくりしたもののようです。もっとも手遅れだったらどっちみち間に合いませんから、慌ててもしょうがないのです。

 

 

【手術の準備】

 時間をかけて下剤を飲み、腸を空にしてから手術を受けるというのは内視鏡検査と同じ手順です。ただ今回は前夜の錠剤も含め、当日の午前中に飲む2ℓの下剤もすべて家で行う点が違います。下剤初心者ではないので、管理する必要がないということなのかもしれません。
 午後ゆっくりと病院に行って手続きをし、点滴を付けてから手術室へ――といっても検査と同じ部屋、内視鏡の挿入手順も全く同じです。

 今回、切除することになったのは二種類のポリープ、それぞれ一個でした。
 ひとつは直腸からS状結腸に入ったばかりのところにあるタコの頭みたいなイボ状のポリープ。もうひとつは盲腸の上のあたりにある腸のヒダに沿ったポリープです。洗濯機の排水パイプのヒダヒダの一か所というところです。腸内のひとつのヒダを山脈に例えると、峰のあたりに初冠雪をかぶったような白い部分があり、それもポリープなのです。

 医師の話だと前者のタコはガンになり易く、後者の初冠雪はなりにくいのだそうですが、取っておくにしくはないということで切除することにしました。もちろん内視鏡手術です。手術の様子は目の前のモニターでずっと見ていることができます。

 

 

【タコの首を切る、山脈を削る】

 実際は山脈の方を先に取ったのですが、説明の都合上、タコから説明します。
 タコの取り方は実に簡単で、ひとことで言うと内視鏡の先端から出た首吊りロープのようなワイヤーをタコの首に引っ掛け、それをきゅっと絞ってから高周波電流を流し、バシッと切断するだけです。(下図)

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 切除した部分はあとで検査するので回収したはずですが、どうやったのか、残念ながら見落としました。あっという間の作業ですから。

 ところが「山脈初冠雪ポリープ」の方はそういうわけにはいきません。ワイヤーを簡単に引っ掛けることができないからです。

 そこで内視鏡の先端から注射針を出し、山脈の根元に生理食塩水を注入して、全体を浮かせてから“首吊りワイヤー”をかけるのです。(下図)

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 私の場合は範囲が広かったので、三回に分けて切除しました。ところが図で見ても分かるように、タコと違って切り口がずっと長く広くなってしまいます(一番右の図の赤く塗った部分)。
 タコの切り口はそのまま放置でいいらしいのですが、山脈の方はそういうわけにいきません。そこで切り口を貼り合わせるのですが、そのやり方がすごい!
 なんとクリップを何個も並べて留めるのです。

 

 

【腸を全部、仮留め】

 私が使ったクリップは二本指の鉄の爪みたいなものです。
 親指と人差し指で摘まんで押さえる図を思い浮かべればいいのですが、内視鏡の先端についた金属二本指の手の、人差し指で向こう側からヒダを引き寄せ、親指で手前のヒダを持ち上げて両方で強く挟む、そうやって固定して、今度はなんと手首ごと切り離して置いてくるのです(下図)。

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 傷が大きいと何個もクリップを使います。私の場合は8個、並べてきました。

 その様子は、気持ち悪いので、他人のものですが画像の直接リンクを貼っておくので、怖いもの見たさに見たい人はクリックしてみてください。
大腸ポリープ 止血クリップ

 

 

【予後の話】

 手術はほんの20分ほど。そのあと1時間ほどベッドで経過観察をした上で、普通に、自家用車で帰宅しました。食事の制限もありません。
 ただし万が一を考えて2週間ほど運動は控え、いつでも病院に来られるよう、遠出はしないよう申し付けられました。以後、問題はありません。

 あ、クリップですか?
 これはいつか自然に取れてしまうもののようです。

「それって、見つけて拾うことはできますか?」
と医師に訊くと、
「そうおっしゃる方は何人もいますが、今まで見つけたという人の話を聞いたことがありません。ボールペンの先端ほどの大きさですから」

 それですんなり引き下がったのですが、あとで考えると「ボールペンの先」もボールだけなのか、替え芯の先端部分なのか、ボールペンの先の金属部分全部なのか、いろいろな考えかたがあります。もしかしたら見つかることもあるかもしれないと、少し緊張感をもって見守っていたある日、用便のあとお尻を拭くトイレットペーパー越しに、肛門付近でプチッと触れるものがありました。手術からちょうど二週間目のことです。

 私は現代医学の最先端に触れたのかもしれません。
――とドキドキしながら見ると、なんと、それはスイカの種だったのでした。