カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「感染者グラフの不思議なリズムと乱れ」~東京都の新型コロナ新規感染者数の出入りが大きすぎる件について② 

 新型コロナウィルス新規感染者数の推移を表すグラフには
 不思議なリズムと乱れがある。
 それは何に由来するのか、
 真実はどこに現れるのか?

というお話。

f:id:kite-cafe:20200715064859j:plain(2020.07.14 SuperT自作)

【感染者グラフの不思議なリズム】

 上のグラフは私が2月からずっとつけてきた東京都の新規感染者数のグラフです。昨日は143名とまた少し増えました。
 毎日ニュースで紹介されるのと同じ数値で、4月ごろは前日の分が昼頃に発表されていましたが、徐々に早まるようになって最近は当日の午後3時ごろには発表されるようになっています。

 見ればわかる通り、グラフにはほぼ週ごとのリズムがあって、月曜日に大きく下がり火曜、水曜、木曜と増えて行って、土曜日が一番多く、日曜日に減って月曜日にさらに落とすというのが基本的な形でした。しかし絶対的な法則ではなく、週の最大値が金曜日であることも、最低値が日曜日、火曜日、時には水曜日ということもありました。
 なぜそんなふうになるのか――。

 答えは簡単で、土日は検査機関の一部が休みだったり担当者が何人か休んだりして、全体の検査数が大きく落ち込んだからです。

 もちろんそれだけだとさらに正確なリズムになるはずですが、そうならないのは検査機関が結果をまとめて報告するのに(あるいは報告を受けた側が取りまとめるのに)、時間差が生れるからです。
「まだ結果の出ていない検体もあるけど、とりあえずわかった分だけ報告しておこう」
 そういったことをすると1日分が二日に分けて出てくることになります。

 もし、検査結果を報告日ではなく、検査が実際に行われた日で整理し直すことができたら、もっとリズミカルなグラフになるかもしれません。そう思って調べると、実は東京都のウェブサイトにはそれがあったのです。

 

 【休日がグラフに反映する】

 下は東京都のウェブサイト「都内の最新感染動向」から借りてきた「確定日(検査が実際に行われ確定した日)別による陽性者数の推移」のグラフです。これを同じページにある「検査実施数」のグラフと並べてみると、グラフのへこみの部分がほぼ一致します。やはり検査数の少ない土日は陽性者の数も減る傾向にあり、同じリズムで次第に増えて行っているのです。

f:id:kite-cafe:20200715065100j:plain

f:id:kite-cafe:20200715065126j:plain

 しかし思ったほどはリズミカルではありません。さらにそれどころか、並べてみることでむしろ“分からないこと”“驚かされること”は増えてしまいます。

 極めつけは7月8日(水)の確定日別陽性者250名で、前日の96名から一気に2.6倍も増えてとんでもないことになっている様子はグラフで一目瞭然です。しかしその日は同時に、テレビニュースで「陽性者75名」と発表され、増加が押さえられたかもしれないと皆で胸をなでおろした日でもあるのです(最初のグラフ参照)。
 いったい何後起こっていたのでしょう?
 
 

【新たな感染者が増えたのは、検査数が増えたからばかりではない】

 小池知事は「新たな感染者が増えたのは検査数が増えたからだ」といった説明をしていますが、それで75名が一気に250名に増えた7月8日を説明することはできません。検査数は2.6倍にもなっていないからです。
 大まかな流れとしても、確かに検査数は6月20日前後の1500弱から7月5日の週には3500件前後と2倍以上に増えていますが、陽性者の数は2倍どころではないのです。

 (陽性者)÷(検査数)は「陽性率」として表されますが東京都のサイトで確認すると、陽性率も明らかに増えています。つまり単に検査数を増やしたから陽性者が増えたわけではないのです。

f:id:kite-cafe:20200715065218j:plain


【市中感染が広がっている――からではない可能性】

 ではなぜ陽性者は増えたのか、陽性率はこんなに高くなったのか――。
 だれでも考えつくのは、実際の市中感染が広がっている可能性です。もちろんそれもあります。しかしそれでも突然の2.6倍を説明することは難しいでしょう。 そうなるとさらに別の可能性を考えるしかありません。
 そこで思いついたのが、検査の対象者を感染の可能性の低い者からより高い者へと移した、あるいは拡大した可能性です。

 今も感染者ゼロの岩手県PCR検査をしてから東京の歌舞伎町に移ってそこで同じように検査をする、そして検査対象を示さずに数値を発表すれば感染者は爆発的に増えたように見えるはずです。あるいは群馬・栃木・茨城3県の検査を関東全体に広げて、埼玉・千葉・東京・神奈川を含めればそれでも陽性率は一気に上がります。

 7月8日の2.6倍にはその可能性はないのでしょうか? そして9日から連続4日間の200人越えにも、同じような意味はないのでしょうか?
 検討してみましょう。

(この稿、続く)