「日本の新型コロナ対策の、奇妙な『結果オーライ』感」~今さら聞けない新型コロナ③

 クルーズ船対応もPCR検査抑制も全国一斉の休校も、
 後手後手だとか唐突だとか、あれこれ批判されたが、
 今となれば「結果オーライ」
 どんなに批判されても平気で押し通す政策の陰に、
 もしかしたら頑固で信念に燃えた強い意志があるのかもしれない。

というお話。

f:id:kite-cafe:20200326073320j:plain(「曇天の出航」フォトACより)

 

【一斉休校の結果オーライ】

 私は今回の日本の新型コロナ対策について、政府の中心あるいは背後に、ものすごく頑固で信念に燃えた専門家の強い意志があるような気がしています。

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応も、PCS検査も、対中入国禁止も、あるいは全国の学校の突然の休校も、その時々は「後手後手の対応」だとか「唐突すぎる」とかさんざんに非難されても、今、ここに至ってからの「結果良ければすべてよし」感というか「結果オーライ」感は何なのでしょう?

 もっとも評判の悪かった全国一斉の休校も、今では「やはりやめるべきだった」という人はほとんどいません。それどころか現在は、「本当に4月から新学期をはじめてもいいのか」と、逆に政府の許容方針を不安に思う人まで出ています。

 休校が感染阻止にどれほどの効果があったかは、今のところ証明できていません(たぶん将来も完全な証明はできないでしょう)。
 しかし日本中の学校が休みなっている間に、世界各国、特にヨーロッパで新型コロナが蔓延し、学校どころか国全体が一斉休業みたいになるのを見て、私たちは“ああなってから休校にするくらいなら、今のうちに休んでみるのも悪くなかったのかもしれない”と思えるくらいにはなっています。
 都市封鎖や日本全体の活動制限の可能性を考えたら、今のうちにやれることは全部やっておいた方がいい、そう感じているのです。

 また、国内に200人程度の感染者しかいなかった段階での一斉休校は、私たちの目を覚まし、気合を入れるに十分な迫力がありました。意識の段階がひとつ上がったのです。
 安倍総理の独断ということになっていますが、モリカケ問題や桜を見る会で気の緩みばかりが目立つ総理およびその周辺が、自分たちだけでこんな勇猛果敢な施策に取り組んだとは思えません。誰かが助言しているのでしょう。

 

【ダイヤモンド・プリンセスへの対応は正しかったか】

 世界中から非難された「ダイヤモンド・プリンセス」への対応も、あれ以上のものがあったとは思えません。
 2週間の検疫の後に公共交通機関を使って帰したしたということでこれもずいぶん非難されましたが、マスコミはすでに横浜接岸一週間目あたりで、「今すぐ全員のPCR検査を実施して、陰性の乗客は帰すべきだ」と言っていたのです。

 今や私たちは、陰性と判定された人でも後に発症する新型コロナウイルスの厄介さを知っています。だから誰も言わないのですが、クルーズ船が横浜に戻って来た時点、あるいは一週間目くらいの時点で乗客全員を降ろしてしまったら、とんでもない数の陰性無症状感染者を全国に送りだしてしまったのかもしません。
 結果的にクルーズ船からの2次感染はなかったのですから、優れた方法だったと言っていいでしょう。

 横浜に着いた時点で、「ダイヤモンド・プリンセス」は十分に取り返しのつかない段階まで進んでいて、そのことを強く意識していた誰かが、「すでに感染している人たちが症状を表わすか、症状は出ないまでもPCR検査で確実に陽性になるまで待つ」というやり方を主張して、にこだわったのです。

 あれほど世界各国から非難されてもガンとしてやり方を変えなかった。
 私が、
 政府の中心あるいは背後に、ものすごく頑固で信念に燃えた専門家の意志がある
と思うのはこういうところからです。

 

【PCR検査はほんとうに足りなかったのか?】

 そうやって考えて行ったとき、「ダイヤモンド・プリンセス」の際もその後も、PCR検査に消極的な理由として政府は常に検査能力がないことを挙げてきましたが、私はそこに疑念を持つのです。
 
 韓国が飛びぬけた検査能力を持っていたことは特殊事情として受け入れてもいいのですが、イランだとかイタリアだとか、スペイン、フランス、アメリカ合衆国といった国々は、感染が拡大するとそれに合わせた感染者数を出してきます。つまりそれなりの検査体制が整っていたということです。
 けれど日本だけができなかった。日本では当初、1日300件程度の検査しかできなかった、日本だけが極端に遅れていた――。
 そんなことがあるのでしょうか? この日本が、ですよ?

――それが私の第4の「今さら聞けない――」なのです。

(この稿、続く)