カイト・カフェ

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「マスクがウイルス感染に有効だという状況証拠がある」~今さら聞けない新型コロナ②

 マスク不要・必要論争は結局、
 「ウイルス感染を防ぐ効果はないが、したい人はすればいい」
 といったところに落ち着いたようだ。
 しかし全国の医療関係者はマスクの不足を嘆き、
 文科省も学校再開に際して「マスク着用」に触れている。
 これはいったいどういうことなんだ?

というお話。

f:id:kite-cafe:20200325072615j:plain(「新幹線の中で眠る人03」フォトACより)


【マスクってどうなのだろう?】

 2009年の新型インフルエンザの時もそうでしたが、市場にマスクがなくなると、メディアはこぞって「使い捨てマスクに感染予防の効果はない」というキャンペーンを始め、私のようなマスク信奉者はバカ扱いにされます。

「そんな愚かな買い溜めはやめて、マスクは医療従事者に回すようにすべきだ」

 しかし私の内心の声は言うのです。
「予防効果のない使い捨てマスクを、なぜ医者は必要としてるんだ?」
 すると高みの人は上から目線で言います。
「医療従事者は一般人と違って、患者のくしゃみや咳の飛沫を浴びる可能性が高いからだ」
 私の内心の声は再びボソッと呟きます。
「ホラみろ、飛沫感染を予防できるってことじゃないか――」

 昨日の西日本新聞の記事にも、
長崎県保険医)協会が懸念するのは、ウイルスを持っていることに気付いていない患者から医師への感染。本田会長は「患者と最初に接触するのは身近な診療所の医師。そこのマスクが足りていないのは大きな問題」と指摘。
と書いてありました。(2020.03.24西日本新聞 開業医の95%マスク不足 「診療の継続困難」長崎県に環境改善要望

 ですから私は、日本中の医師や看護師がマスクを棄てるまで、マスク信仰をやめるつもりはありません(キッパリ)。
 
 

【マスク嫌いのマスク信者】

 ――と言いながら、実は私自身はマスクをつけることが大嫌いなのです。顔の形が不向きなのかマスクをつけるとどう頑張っても眼鏡が曇るのを防げず、一息ごとに“目の前が真っ白になる”のが我慢できません。
 おまけに、耳鼻科の先生に言われたのですが、私の左の鼻の穴は、奥が極端に狭く、1:9くらいの割合でほとんど右だけで息をしているらしいのです。呼吸がほぼ一か所で行われるため、空気を吸うたびにマスクの生地が鼻の穴に張り付いて、息がとてもしにくい。だからめったにマスクはしません。

 自分はマスクを着けないマスク信奉とは何か――それは要するに“他人にマスクをしてもらうこと”を主眼とした、実に身勝手な信仰なのです。

 今の時期、店に行って従業員が全員マスクを着けていると、“少なくともここの店員からうつされることはない”と安心します。満員電車にはめったに乗りませんが、自分の周囲の全員がマスクを着けているなら、たぶん心穏やかに乗っていられると思います。

 ところがそれが欧米の地下鉄で、誰一人マスクをしてない中にポツンと一人だとしたら、それは相当に不安なことです。日本国内だったら私もマスクをしますが、だれもしていない外国社会で、自分だけが着けることには抵抗があります。もともと人の目を気にする性質ですから、おそらく欧米では着けていません。

 そんな状況で誰かが咳ばらいをしたり喉を鳴らして痰を切ったりすれば、もう落ち着いてはいられません。マイクロ飛沫がそのあたりをウロウロしているようで不安になり、じっと下を向いて耐えているしかなくなります。

 やはり彼らにはマスクをしてもらわなくてはなりません。もちろん他人に要求する以上、私もします。
 
 

【感染していることに気づかない無症状感染者にマスクを着けさせる方法】

 マスク否定論者は、
「マスクには他人に感染させない効果はある。だから罹っている人は着けるべきだ」
などと悠長に言いますが、先日のダラス空港で検疫を待つ人々の画像を見たら、欧米では誰もマスクなんかしていない。
「だからあの中に感染者はひとりもいない」と考えるほど私はお人よしではありません。ましてや「欧米人は意識が高いから、自分が感染していることに気づかない無症状感染者でも、感染者であれば人にうつさないようにマスクをしている」という論理矛盾に気づかないほどバカでもありません。

 感染者だけが自発的にマスクを着ける社会などないのです。感染者がきちんとマスクを着ける社会は、「非感染者もマスクを着けている社会」です。必要もないのにマスクを着けたがる人がいっぱいいるから、感染者も、そして自覚のない無症状感染者も、一様にマスクを着けられるのです。

 おそらく今日も日本では、無症状の感染者がそれと知らずにマスクを着けて、他の人に感染させないように努めている。
 それが実態です。中国や韓国でも同様のことが起こっています。

 いくらマスク不足が深刻だといっても、日本のマスク文化を棄ててはいけません。
 
 

【マスクが有効だという状況証拠がある】

 ところで、昔は“風邪をひいているわけでもないのにマスクをするのは日本人だけだ”などと言われましたが、SARS・MARS以来、中国人も韓国人もよく着けるようになりました。そのために今回の新型コロナ事態に際して、日本を含む三カ国は皆一様にマスク不足に悩まされました。ところがイタリアやスペインの映像を見ると、欧米では厳戒期の今であってもマスクを着ける人は稀です。それでいいのか?

 ちょっと計算してみると、新型コロナウイルスの死亡者が3277人にもなった中国は、人口が13億5800万人ですので10万人当たりの死亡者は0.24人ということになります。
 同じ計算で韓国は0.25人、日本が0.03人、それに対してイタリアは9.96人、スペインが4.74人、フランスは1.07人です。1ケタも2ケタも違うのです。

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 しかもこの数字、アジアの三カ国は最初の感染者発見から2~3か月もかかって積み上げたものであるのに対し、ヨーロッパ三カ国はわずか一カ月で叩き出したものです。いかにヨーロッパの状況が悪いか分かろうというものです。

 要素は複雑に絡み合っているので断定的なことは言えませんが、私は何か、やはりマスクをしていた方がいいような気がするのです。
 ウイルスは1粒でも体内に入れば感染・発症するというものでもないでしょう。飛沫を半分さえぎるだけでも、感染の可能性はグンと減るとのではないかと私は思っています。いざとなったら布製マスクだってないよりはマシです。

 いずれにしろ私はマスクを手放しません。
 正確に言えば、私の近くの人には手放してほしくないのです(ワガママ)。

(この稿、続く)