古くなった傘の、布の部分を再利用したいからうまく取ってくれと妻に頼まれ、先端の部分を外してそこから骨組みを抜いてみました。うまくできました。(下図)
その際に分解した先端の部分のパーツは下の通りになっています。
組み立ての手順は、骨組み(①)の上に②の布を置き、傘の布地(③)をかぶせ、セルロイドの部品(④)をつけて⑤の布をかぶせ、最後に金属のリングをつけて横から釘を打つ、となります。いったいいくらで売っていた傘かわかりませんが、先端から水漏れしない傘となるとここまで丁寧なことをしなければならないのです。
その他、スプリングで傘の開く仕組みだとか、雨をはじく布の材質だとか、広げるとドーム型になる適切な裁断の仕方だとか、あるいは水が浸みこまない縫製だとか、至るところにプロの技術が結集しています。
感心しました。
【母が風呂を修繕する】
90歳になった実家の母が、150万円もかけて風呂を改修するそうです
夏は“面倒だから”ということでシャワーで済ませ、冬は“ウチの風呂は寒いからいやだ”と近くの銭湯へ通っていたので、湯舟はここ何年も使っていなかったのですが、気がつくと強化プラスチックの浴槽に大きなひび割れができていました。
そろそろ冬の銭湯通いもしんどくなりそうなので、ならば思い切ってということで全面改修です。本人はまだ15年は使うつもりのようです。
その業者さんとの最終打ち合わせに私も呼ばれ、市のケア・マネージャーにも一緒に入っていただいき、細部の詰めを行いました。
ボケ―っと何もわからぬ私をしり目に、ケア・マネージャーの方が積極的に参加してくれて「バリアフリーで段差のない仕組みになっているんですね」「この手すり以外のものがオプションになるんですね」といちいち確認してくださいます。その上で、「あれ? この入り口、折り戸ですか?」と訊きます。
業者さんの方は図面を確認して、
「いや、図では折り戸のように見えますが、普通のドアの仕様です」
そしてケア・マネージャの表情が曇ります。ドアは内側から開ける際一歩下がらなければならない、それがお年寄りには危ない場合があるというのです。確かにその通りです。
“言われてみればその通り”のことが、素人には気づきにくいのです。
ドアを引き戸に変更してもらってさらに検討を重ね、ケア・マネさんが、
「それじゃあこの出口のところに、縦の手すりをつけてもらいましょう。もうひとつよけいにつけても市の補助金の対象内となりますから」
これにはこんど業者さんの方から一声入ります。
「いや、さきほどドアを引き戸にしましたから、引き戸の収納部分にあたるここでは壁が薄くなっちゃうんですよ。もしかしたら手すりはつけられないかもしれないので、一度調べておきますね」
“言われてみればその通り”
そうしたことは建築のプロだからすぐにピンとくる話です。私やケア・マネさんでは気づけないことです。
いずれもプロらしい気づきですが、当人たちにとってはおそらく当たり前の、慣れたことのはずです。いや普通の人には特別なことを、当たり前のように考えたりやったりできるのがプロなのでしょうね。
教師も「ああやはりプロは違うな」と思わせる技を、できるだけたくさん持っていたいものですね。