「学校と避難所」a

 熊本地震の支援活動がうまく運んでいないようでテレビを見ていてもイライラします。

 鉄道や高速道は使えないにしても熊本市内は車も走っている様子、マスコミだって大挙駆け付けています。近隣の県や市町村の食品工場から優先的に食料品を運んでもらって熊本市の市街地だけでも潤うようにすれば、自ずと山間部に手が伸びるはずです。

 ボランティアも一律に待機してもらうのではなく、特定の技術を持った人に優先的に来てもらえば事態はかなり違ったものになるしょう。

 例えば、宅配業者数人に来てもらうだけで仕分け作業はもっと効率的になるはずです。彼らは仕分けと配送のプロですから、集積所のどこに何を、どういう順番で置くといったところから教えてくれます。

 人手不足だとも聞きますが、働き手なんていくらでもいます。避難所に集まってきている人たちはいずれも教養のある、よく教育された人たちです(基本的に日本の義務教育を終えた人が大部分ですから)。この人たちを使わないという手はありません。

 彼らにないのは役割と権限と適格な指示ですから、内部ボランティアを募り、資格を与え、配送のプロに指示を出してもらえばあっという間に仕事は進みます。

 道路が寸断されていて使えないのなら、バイク持ち込みで配送してくれる人を呼び集めます。自動車はダメだがバイクなら可という道筋もあるはずです。一人ひとりが運べる量はわずかでも、百人単位で集まれば相当な力になります。

 コンピュータが大好きで情報収集と整理が趣味という人もいますから、この人たちとバイク配送担当者をネットでつなぎ、配送ルートを共有します。バイクならオフロードも進めますから配送ルートはどんどん広がるはずです。

「ものはあるのにニーズとのマッチングがうまいかない、車中泊の人数が把握できない――」

 それは一番最初にやるべき仕事でしょう。

 避難所設営で最もはじめにやらなければならないのは名簿作成とトイレの準備です。人数把握のための人員を早急に整備し、専用サイトを立ち上げてそこで一括管理をする。極端に言えば市町村職員の大半を情報収集にあて、あとは現地ボランティアに任せて行けばいいのです。

 今やSNSの時代です。情報収集は現場でしかできないにしてもその処理と指示は外部でもできます。熊本の情報を東京で処理し、東京から指示を出して現場で支援物資の配送を行う、そうしたことも考えていかなければなりません。東京が遠すぎるなら山口でも鹿児島でもかまわないでしょう。

 いずれにしろすべての物資を一か所に集めてそこから分配するという今の方式は、もっと規模の小さな災害には向いていても20万人という避難民を前には役に立つはずはありません。

・・・と、以上は私の知恵でも意見でもありません。

 すべて阪神大震災や新潟中越地震東日本大震災から学んだ共通の知識です。各地の防災担当者なら皆知っていることですが機能させるためには別の知恵や決断が必要なのでしょう。

 日本人はまじめです。中でも公務員はまったく融通が利かないと言われるほどまじめですから、きっと熊本県・市町村の職員たちは自分の責任で、市民に迷惑をかけずにやろうと、必死になって頑張っているのでしょう。けれど人間の能力には限界があります。

 自分に何ができるか何をするかも大切ですが、誰ができるか誰にやらせるかの方がよほど役に立つ場面だってあるのです。

                                 (この稿、続く)