「ハード・ディスク・エレジー」~PCが壊れるということの現実的な意味

「ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した」

 

 有名なカフカの「変身」の冒頭ですが、まったく違う話で、しかしショックの度合いとしてはほぼ同じようなことが、先々週の私の身に起こりました。

「変身」風に書くとこうです。

「金曜日、花金気分で気楽に家に帰ると、コンピュータが壊れているのを発見した」

 

 画面に、「ハードディスクの一部が壊れています」のメッセージ。以後何をやっても復旧しません。

 3年前にやはりコンピュータが何もしなくなったとき、店に持ち込んだら「こういう場合、基本的にデータは諦めてもらうことになっています」とか言われ、「いやコンピュータなんてどうでもいいからデータだけでも復旧してくれ」といったら、「1GBあたり1万円程度になります」(ってことは500GBのこのコンピュータ、復旧に500万円かァ!?)

 震え上がって持ち帰り、何かできることはないかと中を開いたら、CPUが燃えていました(!!)。ヒートシンクという、オートバイのエンジンみたいな、放熱板のついたアルミブロックが外れて落ちていたのです(そんなことってあるか?)。これでは何もしてくれないわけです。しかしそうなるとかえってハードディスクには問題のない可能性があり、そこから悪戦苦闘してなんとかデータを取り出し、新しいコンピュータに移すことができました。

 

 ところがその「新しいコンピュータ」(今回壊れたもの)が曲者で、安物買いが祟ったのかどうも動作がおかしい。妙なタイミングで動きが鈍くなったり、ソフトによっては正常ない動きをしてくれないものもある。リカバリするとしばらくはいいものの、またおかしくなる。だったら早く修理に出せばよいのに、毎日使うものなので面倒くさがっていてのこの始末です。

 

 ただし、前回と違って今回は多少気持ちに余裕がありました。というのは前回懲りたので外付けハードディスクを購入し、バックアップも取ってあったのです。そこで調子の悪いコンピュータさっさと諦め、歳末商戦の量販店に行くとそこに「大幅値引き、展示品のみ」の表示。もうこれは私を待っていたような商品です。ほとんどルンルン気分で今回も超安物買いです。しかしそこにも落とし穴・・・。

 

 これはあとから気づいたのですが、要するに展示品はいったん誰かが起動して、その際ユーザー名をひとつ登録したのです。「owner」という極めて妥当で平凡なものですが、私はそのことに気づかない。一方外付けハードディスクに入っている情報は、別のユーザー名で登録した古いコンピュータのバックアップです。それを「owner」に入れようとしてもうまく入っていかない。

 対処方法は簡単で、新しいコンピュータのユーザー名を古いものと同じにしてやればいいだけですが、それに気づくまでに膨大な時間が費やされてしまいました。

 

 そしてさらに、プリンタを接続しようとすると前回はなかった「修正ファイルの取り寄せとインストール」という手続きが必要だったり(どうしてそんなことになるのだ?)、別のソフトは普通版だと思って作業を始めたらアップグレード版で元のCDを探さなくてはいけなかったりと、四苦八苦です。

 3日ほどかかってようやく、元のコンピュータと同じように使えるまでになりました。しかしそれにしてもバックアップをとっておいて本当によかった。

 

 いまやハードディスクは2テラで7〜8000円程度です。500万円に比べたらタダみたいなものです。買ってつけていくといいですよ。