俺たちに明日はない。しかしそれでも最先端に触れてみるべく、
オモチャみたいなスマートウォッチを買った。
ところがこの装置、500円から16万円以上までと値段も不可思議なら、
使い方もイマイチ謎なのだ。
という話。(写真:フォトAC)
【最先端に挑む】
腕時計をなくしました。とは言っても昨年12月末のことです。
20年も使ってきた腕時計が一昨年の秋ついに動かなくなり、半年我慢して昨年の春に新しいものを1万780円で買ったのですが、それがなくなってしまったのです。ほぼ100%家でなくしたことが分かっているので買うに買われず、また半年以上我慢して最近ようやく新しいものを買う気になったのです。畑仕事の最中など、やはりないと困ります。
それとは別に、時を同じくして買い直すきっかけとなるできごとがありました。それはあるところでスマート・ウォッチのおかげで命を拾った人の話を聞いたからです。自覚症状もないのに脈拍が1分間に140以上にもなる日が三日も続いて、それを機器に知らされて医者に行くと、即日心臓手術になって助かったというのです。スマート・ウォッチをつけて初めて病気を知ったという人も世界中に溢れているそうです。
以前にもお話ししましたが私は死ぬことは怖くないのです。しかしできれば苦しんで死ぬのと何の準備もない突然死だけは避けたいと思っています。そのためには循環器系の病気と事故に気をつけなくてはなりません。そこで普通の腕時計ではなく、スマート・ウォッチを買うことを考え始めたのです。
【機器に迷う】
私はiPhoneユーザーなのでまずアップル・ウォッチを考えました。値段は37,800円くらいから124,800円ほど。45,800円から59,800円程度のモデルが標準みたいです。安いものではありません。
性能を比較すると10万円を越えるモデルがメチャクチャ丈夫で、海に潜っても砂漠に放置されても壊れないらしいということは分かるものの、他の部分は良く理解できません。そもそもスマート・ウォッチに何ができるのかも分かっていない。
そこであちこち調べながら一生懸命思案を巡らせ、なんとか理解したのは、
- スマホが手元になくても電話ができるらしい、SNSを読んだり書いたりできるらしい、音楽をストリーミングして聞くことができるらしい。
- 血中酸素濃度や心拍数を測り、記録したり心電図をつくったりできるらしい。異常があったら警告してくれるらしい。体温を測ってくれて排卵日まで推定してくれるらしい。転んだり事故で衝撃を受けたりといった異状を検出してくれるらしい。
と、どうやらスマホ並みの通信機能と安全・健康管理機能の両方をもった装置らしいのです。
しかし正直言って、それでは何万円もかけて手にするものではないような気もします。気持ちが萎えます。
【迷って安物を買う】
せっかく挑戦しようとしていた私の気持ちを挫いたのは、それだけではありません。調べてみると世にスマートウォッチと呼ばれるものはピンキリで、アマゾンで調べただけでも上は167,732円から下は何と490円まで、千差万別なのです。
さすがに490円となると明らかに機能も落ちますが、4,000円~7,000円程度のものと50,000円クラスのものとの違いは分からない。もうこうなったら安いもの購入して使ってみて、その上で考えてみるしかない――ということで、買ったのが右のスマートウォッチ2,680円でした。
意図せずに溜まってしまったポイントを使おうと初めて使ったネットショップで、評価もコメントも、それどころかメーカー名も分からないままの買い物です。
このスマートウォッチでできることは以下の通り。
- 月日と時間を表示する。時計画面は5種類から選択。
- 体温をリアルタイムで計測してスマホアプリに送ることができる。
- 歩数計の機能があり、歩数と距離、消費カロリーをスマホに表示できる。
- 1時間に一回、自動的に脈拍を測り、スマホアプリに送ることができる。
- ボタンを押すことで血圧を計測し、アプリに送ることができる。
- 同様にボタンを押すことで血中酸素濃度を測ることができるが、アプリには送れない。
- SNSと電話の着信があることを振動で知らせる。
- SNS等のメッセージが表示される(ただし字が小さすぎて私には読めない)。
- 腕につけたまま眠ると睡眠状況を記録してくれる。
- スマホとスマートウォッチ、いずれかの所在が分からなくなったとき、一方から他方を呼び出せる。
たった2,680円でこれ以上なにが必要なのかと思わせるほどの多彩さです。十分じゃないですか。
【安物だけに欠点も多い】
ただし使えるようになうまでが大変でした。8か国語で書かれた説明書は簡単すぎる上に古い翻訳ソフトで訳したような奇妙な日本語で、何を言っているのか分からない部分があります。
「使用する前に初めて、それは充電する必要がありますとアクティブ化、装備された使用」
スマホにダウンロードしたアプリも中国語っぽい言葉が満載で、例えば脈拍数の評価は高い方から「極限」「無酸素」「心肺」「燃脂」「減圧」「静息」・・・さっぱりわからない(湯川准教授風に)。
アプリの使い方についてどこかに「ヘルプ」がありそうなものだと探せど見つからず、ふと気づいたのが「助け」。おおここにあったのかとタップすると、かなりの量が全文英語のために全く読めない。結局あれこれ触りながら勉強していくしかありませんでした。
さらに欠点を言い出せば山ほどあります。
- 体温や血圧の計測結果が高めに出る
- Appleの健康管理アプリ(ヘルスケア)との連携が不十分で反映しない項目がある。
- ハンドアップ照明(時計を見ようと腕を上げると自動的にバックライトが点灯する)をオンにすると、電池が一日持たない(オフだと4日以上もつ)。オフにすると時計を見るにもいちいちボタンを押さなくてはならない。
- バックライトが暗くて、日中の屋外では見られない。
- いまだに機能の分からない部分がある(運動モードなど)。
(この稿、続く)