改めて、不登校のこと

 A君のことはほんとうによかったと思います。

 昔、「寝たきり老人をなくす運動」というのがあって、活動の内容が全く想像できなかったので「年寄りを叩き起こすのかよ」と軽口をたたいたら、ほんとうに叩き起こすのが最初の仕事だったので驚きました。病気やケガで寝ている人まで起こすというのではありません。少しでも動ける人を積極的に動かし、寝たきりにならないようにするという意味らしいのです。そうなると「不登校をなくす」ための最初の仕事は、「まず登校させる」ということになります。

 「不登校は登校するようになればいい、という問題ではない」と言う人もいますが、子どもが生き生きと学校に通うようになったら不登校問題は終わりです。その後のことはまた、別問題です。

 不登校の子はなぜ登校を渋るのでしょう。私はいつもそのことを考えてきました。しかしある時から、不登校の子たちも、長い時期を通じて同じ理由で不登校をしているわけではないということに気がつきました。不登校を始めたときに理由も、ほんとうに深刻な場合もあれば全く大したことのない場合もあります。それを十把一絡げにして「とにかく出させろ」というのも「ゆっくり休ませろ」というのも、どちらも間違っています。どちらも間違っていて、個々正解が分からないとしたら、とにかくまず学校に来させる努力をすべきだと私は思うのです。

 本人の意思に任せてはいけません。たかが10歳前後の小中学生に人生の根幹にかかわる問題の決定権与えてはいけないのです。

 義務教育の全部をつぶし、あるいは学校教育のすべてを拒否し、学歴も実力もないまま社会の前に立たされる覚悟を、子どものうちにさせてはならないという意味です。

 子どもが学校に行かないと言っても、様子を見るのはせいぜい2日です。理由もないのに2日学校に来ない子は3日目も来ません夜討ち朝駆けで家庭訪問しましょう。学校においでと呼びかけましょう。

「いじめられている」と言ったらいじめの対応をしましょう、先生が怖いというなら対応を改めましょう。宿題ができていないからと言うなら、できるような方策を考えます。

 それで登校するようなら大した不登校ではありませんから私たちにやっていることは間違っていません。それでも一週間来ないなら、そこから改めて考えればいいのです。