二日の休みを経て学校にきたら、満開の桜で驚きました。
「花は桜木(さくらぎ)、人は武士」(一休 宗純)
と言われるように、桜はその純潔さと散り際の美しさによって、武士の生き方と重ね合わせられることが多かったようです。明治以降も軍隊の制帽や階級章に桜を象った紋章が用いられ、現在でも警察や自衛隊の紋章に使用されています。一説によると日本の学校が4月始まりなのも、陸軍士官学校が桜の季節に合わせて入学式を行ったからと言われています。
「願わくは花のもとにて春死なむその如月の望月のころ」
先月、職員室で桜の話をしていたときに赤木先生が好きだと言っていた西行法師の歌です。西行は若くして妻子を捨て出家した人ですが、元が北面の武士ですから終始桜を愛しました。
小沢先生は梶井基次郎の「桜の木の下には」という短編に酔っておられます。これはこんな書き出しで始まっています。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ」
あの夜桜の妖しい美しさを見ていると、本当にそんな気がしてくるものです。