「リンゴはなぜ甘いのか?」

 娘がまだ保育園くらいのとき「将来は人や世の中のために役に立つ仕事をするんだよ」という話をしたことがあります。娘はしばらく考えてから「人の役に立たない仕事って、あるの?」と逆に聞き返してきました。これには面食らいました。

「駕籠に乗る人、駕籠担ぐ人、そのまた駕籠をつくるひと」

という言葉があります。世の中にはまったく人の役に立たない仕事なんてないのですよね。

 さて、

「甘いリンゴは人間にとっては役に立つが、リンゴ自体にとってどういう意味があるのか」

 私が若い頃に悩んだ重大なテーマです(モット ホカニハ ナヤミハ ナカッタノカ・・・? )。

 リンゴやナシ・ブドウなど、水はけのよい土地を好む植物は日照りに備えて種子の周辺に水分を蓄えておかなければならない、それが果実です(逆に水の中に育つ稲の種子には水分はまるでない。これを「砂漠には水を持って行け、川には水筒はいらないの法則」と私は呼んでいました)。しかしだからといってその水分が甘いことは、必ずしもリンゴやナシにとっては重要ではないだろう、というのが悩みの核心です。

 知っている人にとってはバカらしいほど簡単なことでも、分からないとなると本当に分からない・・・。

 実はコレ、要するにその甘い実を食べた鳥獣によって種子は遠くに運ばれ、糞という養分の塊とともに地上に置かれる可能性が高い、実の甘いリンゴの方が有利だ、ということなのですね。同じリンゴのなかでも甘い実をつける性質をもったリンゴだけが子孫を多く増やし続け、その結果、甘いリンゴだけが栄えた、ということです。

 そうなると「あんなでかい実を食べる鳥獣って何だ?」ということになりますが、これはもちろん人間のために改良した結果です。自然とは本当によくできているものだなあ、というお話でした。(今日は書くことがなかったので)