カイト・カフェ

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「藤田ニコルに心折られた話」~若者の進みすぎた性生活と、あまりにも遅れた若者の話①

 夜のトーク番組を見ていて、
 女性タレントのあまりにも明け透けな話に心折れた。
 しかし一方で、
 私は遅れすぎた青年たちのことも知っているのだ。
 という話。(写真:フォトAC)

【「人志松本の酒のツマミになる話」の話】

 「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ 金曜10:00~)という番組が好きで、土曜日の空いた時間にビデオに撮ったものを妻と一緒に観ています。
 カジノのルーレット・テーブルのような台を囲んで松本人志と6人のゲストがテーマごとに話を進めるトーク番組なのですが、酒瓶ルーレットで選ばれた人が話題を提供することと、終始アルコールを飲みながら話を進めるのが特徴で、芸人の飲み会をそのまま番組に乗せたようなものです。
 
 確かに芸能関係者には見慣れた風景で、面白いに決まっていると思いながら、しかし“酒を飲みながら仕事をする”ということが果たして世間で通るものなのか、その一点で今までは番組にならなかったようなものなのかもしれません。しかしフジテレビはやってしまった。そしてヒットした、世間は受け入れた、ということです。
 しかしそうは言ってもカメラが回っているのですから羽目は外しきれない、しかし酔っているのでほころびかける、そのスリルもまたいいのでしょう。

藤田ニコルに心折られた話:寝るまで彼におしりを触っていてほしい】

 その「酒のツマミ~」の先週のゲストの中に、藤田ニコル(25)というタレントさんがいました。お父さんがポーランドとロシアのハーフ、お母さんが日本人というファッションモデルで、一般にはToutuberとしても知られているようです。そのニコルさんが酒瓶指名を受けて持ち出した話題が、
「みなさんは、相手が喜ぶと思って腕まくらしてますか?」
というものでした。
 ニコルさん自身は腕枕が苦手で、「首は凝るし、眠れない」「周りの友だちもみんな『腕枕が嫌いだ』という人が多いっていう人がけっこう多い」と話します。寝るときは、
「私は向かい合わせも無理。鼻息とかが当たるのが気になっちゃう。ちょっとイチャイチャして、背中合わせで寝たい。別々のベッドで寝るのは嫌なので、離れはするけど手はつないでいたい。むしろ寝るまでおしりを触ってもらうか、手をつないでいてほしい」
のだそうです。

 私は考え込んでしまいました。
 独身の、25歳の売れっ子の閨房の話が、こんなに軽々しく公共の場に出されてくる、しかも、
「寝るまでおしりを触ってもらうか、手をつないでいてほしい」
と、ひと昔前なら一発で放送局のみならず、芸能界全体から出入り禁止になりかねない発言が、シレっと語られ、翌日のネットでも話題にさえならない。
 あたかも “二十代も半ばまできて藤田ニコルほどの美貌があれば恋人がいないはずがない、恋人がいて健康な体があれば肉体関係があるのも当たり前で、なにを今さらうろたえる必要があるのか”と、そんなふうに言われているようです。
 そもそも閨房(けいぼう)だの肉体関係だのといった古い言葉を使っている時点で、私はダメなのかもしれません。

【正反対の話もある】

 ここで老人らしく「今どきの若い者は――」と嘆いて見せるとか、「私たちの若いころは――」と純愛を主張するとか、あるいは全面的に降伏して「性がほんとうに明るい、清々しい時代が来て良かったではないか」と、心にもない賛辞を送ってみたりするとか、そういった方向に話を進めれば落ち着きはいいのです。しかし私はそれと正反対の話も知っているのです。

 それは例ば昨年6月に発表された「令和4年版男女共同参画白書」「20代の若者の『デート経験なし』は4割以上」というデータであり、2021年の「出生動向基本調査」による、「18-34歳の独身男性の『性体験なし』率は44・2%、女性は49・4%」という数字です。

(この稿、続く)