「やっぱりこれからはサブスクかな?」~分かってはいるが抵抗もある

映画やドラマ、音楽も、あるいは洋服も電化製品も、
これからは定額見放題・聞き放題・使い放題の時代なのかもしれない。
それは分かっているのだが、資産として物の残らない世界、
やはりどこかに抵抗がある。
という話。(写真:フォトAC)

アメリカのテレビ局を舐めてはいけなかった】

 先日お話しした「ゲーム・オブ・スローンズ」、無事、有料化の前に全編観終わりました。かなり面白かった。
 脚本に十分時間がかけられているらしく、登場人物たちの複雑な感情や人々の成長の様子がよくわかる物語でした。それに何といってもあの規模の大きさ。
 数万人の兵士がぶつかり合う合戦場面だとか巨大な城だとか、あるいはドラゴンだとかはほとんどがCGだと思うのですが、それにしても丁寧によくできていました。
 私としてはエピソード(第一話とか二話とか)が多くて観はじめると長くなりそうなことと、どうせテレビドラマだから大したことはないだろうという思い込みのために無料期間の5年間をやり過ごしてしまったわけですが、アメリカのテレビ局を舐めてはいけませんでした。
 
 考えてみれば昨年の東京オリンピック、各競技決勝が深夜だったり早朝だったりと開催国にとっては極めて不都合な時間に設定されていたのも、破格の資金を提供してくれるアメリカテレビ局への配慮だったとのこと。あちらのゴールデンタイムに合わせるとどうしても妙な時間になってしまうのだと聞きました。そのくらい実力・資金力があるわけです。

【ドラマ一本にどれくらいの予算をかけるのか】

 そこで調べたら「ゲーム・オブ・スローンズ」はシーズン1(全10話)で250億円もの予算をかけているのです。1話あたり25億円。日本で最も予算をかけていると言われるNHKの大河ドラマでも1本7900万円ほど。民放だとさらにその半分以下になるそうです。
 まったく比較になりません*1
 しかも1年間に10本作ればいいだけの「ゲーム・オブ・スローンズ」に対して、大河ドラマは年間50本近くを制作しなくてはなりません。1本にかける時間も労力も全く異なってきます。
 大河ドラマは十分に面白いですが、それでも世界に通用させるというわけにいかないのには、そういった面もあるのかもしれません。

【サブスク(サブスクリプション)という新世界】

 さて、ではなぜアメリカのテレビ局はそんなにお金があるのかというと、もちろん世界中に配信して収益を得ることができるという点もありますが、基本的に多くが国内でケーブルテレビ・衛星放送テレビとして直接、視聴者から料金を取っているからだと考えられます。広告収入に頼るのではなく、直接払ってもらうから高収入なのだというのは日本のNHKにも通じる構造です。
 
 こうした「定期的に料金を支払い利用するコンテンツやサービス」のことをサブスクリプションというのだそうです。若い人たちが「サブスク」「サブスク」と呼んでいるのがこれで、映画・ドラマ以外にも音楽や電子書籍などがあるようです。
 もっとも「定期的に料金を支払って」という部分を強調するとレンタル家具やタイヤ、服、家電製品、あるいは交通手段や不動産・住宅までもこの概念に入ってきます。要するにサービスが個別ではなく、ざっくりとまとめて払って必要に応じて使うのがサブスク、と考えれば大まかなところは当たっているみたいです。一定の額を継続的に払えば、服や家具を次々といくらでも借りられる、そんなふうに考えると分かりやすいのかもしれません。
 
 動画についていえばAmazonプライム、U-NEXT、Hulu、Netflixなどが有名どころだそうですが、さて、個別に支払いをしてソフトを買ったりレンタルショップで借りていたりした私たちの世代が、定額見放題みたいな世界に易々と飛び込んでいけるものか、支払った分だけを十分楽しむ能力を身に着けられるか、なかなか難しい面もあるのかもしれません。
 
 私個人についていえば、金を払ったのに資産としてものが残らないことに耐えられるか。本棚にずらっと並んだ書籍の背や、専用ラックに納められたDVDやCDのタイトルを見ながら、さて次は何を読もうか、見ようか、聞こうかと作戦を練ったり、今日まで積み重ねてきた経験や努力の様子に満足したり、といった楽しみなしに生きていくことはできるのか。そのあたりが問題になりそうです。

*1:もっとも年間予算で考えると「ゲーム・オブ・スローンズ」250億円に対して大河ドラマは38億円ほどになりますから、その差は少々縮まります。