2月の下旬に家族で九州旅行に行ってきた。
前後が移動日なので実質的には5泊4日だったが、
5泊の宿のいちいちが面白かったので報告する。
今日はその1回目。
というお話。
(太宰府天満宮前のシーナとイーツ)
【シーナの作った、格安の凝った宿泊計画】
今回の旅行の発起人で計画者でもあったのは、東京に住む娘のシーナでした。この娘は両親に似ず、あまりケチなところがない、と言うよりは意図的に親を反面教師として、使うべきところには金を使う意欲が見えます。
ただし私たちのような30年以上も二馬力でガンガン働いて遊ぶこともしなかった人間と比べると、はるかに貧乏なので旅行計画といっても派手なものにはなりません。
さらに旅行本体よりも計画の方が好きといった娘なので、安いなりにかなり凝った宿泊計画ができました。泊まった宿の形式、というかあり方が、全部違うのです。
もちろん世の中にはものすごくたくさんの宿泊施設の形があって、今回の旅行の中には高級ホテルもペンションも、いわゆる民泊もカプセルホテルもありませんからあらゆる形式を踏査したというわけではありませんが、それらのほんの一部だとしても、けっこうおもしろかったので紹介します。
【アパートホテル「グランドベース博多」】
短く縮めて「アパ・ホテル」、ではありません。強いて言えば、「周囲からは『アパート』としか見えないようなホテル」という意味でしょうか?
フロントもなく従業員も常駐せず、ナンバーロックを解錠して入るところは普通のアパートのようです。中の間取りもワンルームマンションと同じで、リビングルールひとつに小さな台所、バス・トイレがついています。
ただし私たちが泊まったところは明らかにワンルーム・マンションを改装したものではなく、専用に作られた建物です。リビングルームが広すぎるのです。
窓際にダブルベッドとシングルベッドが2台ずつ、つまり6人が余裕をもって泊まれるようになっていて、その手前に大きなソファーのセットが置かれています。
間接照明の落ち着いた雰囲気で、大きな壁掛けテレビがありました。
驚くべきはこれで大人3名、素泊まりで1万2000円なのです。もちろん安さだけで言えばさらに安価なところはあると思いますが、豪華さを考えるとかなり満足の行くものでした。
ネット予約のカード払い。ホテルに近づいたところで電話連絡をすると建物に入るためのロックナンバーと部屋に入るための番号を教えてくれます。中に入ってしばらく待つと、タオル類が届けられ、そこで人数等の確認が行われるのです。
一泊の宿として使うのもいいですが大人数(6名まで)でやってきて、何日か連泊して、あちこちを観光する足場とするのもいいでしょう。自炊などすればかなり安く抑えることができます。
部屋数は全部で三つだけのようでした。
なお、「アパートホテル」という言い方はシーナがどこからか拾ってきたものらしく、私の調べた範囲にはありませんでした。しかしイメージとして合うので、そのまま使用しました。
【スーパーホテルLohas熊本天然温泉】
二日目は熊本市内のスーパーホテル「Lohas熊本天然温泉」。
スーパーホテルは一般名称ではなく、全国に150近い店舗を展開する「株式会社スーパーホテル」傘下のビジネスホテルの総称です。
Wikipediaで見るとさまざまな工夫――ベッド下の掃除が省略できるように脚をなくして天井も高く見せる、ドアは暗証番号式のオートロックのためキーの返却がない(したがってチェックアウト時に従業員が対応しなくて済む)、従業員も7:00~10:00、15:00~24:00の運営時間以外は対応しないなど――による徹底したコスト削減で低料金を実現している、といった説明があります。
昔、日曜日朝のTBS生活情報バラエティ番組「がっちりマンデー!!」で扱われたことがあると思うのですが、一部店舗では「天然温泉大浴場」を“売り”にしていて、それで他のビジネスホテルと差別化を図り、人気を博しています。しかしこの大浴場、考えようによってはホテルにこそメリットがありそうです。
なぜならホテルの洋式バスでは、100人泊まれば100回お湯が入れ替えられてしまいます。1回200ℓと考えても、その水道費・光熱費はとんでもない額です。
それが一発温泉を掘り当てれば、それこそ湯水のように使えるわけです。
私たちが泊まった熊本のスーパーホテル「Lohas熊本天然温泉」は加熱しているようですが、それでも各部屋で使われるよりは安上がりでしょう。しかも「天然温泉大浴場」の大看板は人を引き付けます。
「温オタ(温泉オタク)」の妻も娘のシーナも、ビジネスホテルであるまじき2度風呂・3度風呂で満足そうでした。私も、浴槽の中で体を洗ってシャワーで流す洋式バスなんて大嫌いですから、大浴場はありがたい。
ただし注意しなくてはならないこともあります。
徹底したコスト削減で従業員とのやり取りはチェックインの時の一回だけ――が原則ですから、完全前金制で心づもりがないと困ることがあるのです。
私たちの場合は企画者のシーナとは別行動で夫婦が先にチェックインしたのですが、ネットで前払いしてあると思い込んでいたのに支払いを求められて少し戸惑いました。
すぐ後に来た紳士も団体で申し込んであったらしく、遅れてくる責任者と連絡が取れないと困っていました。自分の支払い分くらいは持っているにしても、同室者の分まで払っていいものかどうか迷ったのでしょう。一人の名前で数部屋押さえてあるというような場合だったら、全額前払いしないと一人も入れなかったのでしょうか?
そんなことはないと思うのですが、ちょっと迷います。
宿泊費は朝食をつけてひとり6000円(税込み)。夕飯は近くのお店で食べるつもりだったのですが、「Lohas熊本天然温泉」は城下町にありがちな町割りの、寺町のど真ん中。繁華街までは15分程度歩かなくてはならず、小さな子ども連れとしては面倒で結局ホテルのレストランを使いました。
美味しかったが少々割高な感じもしました。
www.superhotel.co.jp
(この稿、続く)