「不健康な男は妻を求める」~少子化と非婚について考える1

 少子化問題
 その原因の9割は 日本人が蹴婚しなくなったからだという
 なぜ人は結婚しなくなったのか
 どうしたら結婚するようになるのか
 結婚は個人の自由かもしれないが
 息子のことを念頭に ふと考えてみた

という話。

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【超未婚社会をAIで解く】

 先週土曜日の、NHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン~超未婚社会」VTRに撮ってあったのを昨日観ました。面白かった。

www.nhk.or.jp

 番組内容をNHKのサイトから丸写しすると、
 マツコ・デラックス有働由美子の強力タッグと、NHKが独自に開発した人工知能 「AIひろし」がぶつかり合い、日本が直面する課題の解決策を探るシリーズ、「AIに聞いてみた」。第4回のテーマは「超未婚社会」。恋も結婚も個人の自由・・・ですが、日本の大きな課題「少子化」に直結する問題でもあります。

 いま日本の婚姻率は過去最低を記録。男性の4人に1人、女性の7人に1人は生涯独身という、“超未婚社会”ともいうべき状況。少子化の原因の9割が婚姻率の低下にあるという研究も発表されています。
 しかし、どうしてこれだけ未婚社会になったのかは、実は研究者も全貌がつかめていない大きな謎。これまでは男性の収入の不安定化や女性の社会進出、保育所問題などが原因とされることが多かったのですが、AIはいままでの常識とは異なる意外な要素を導き出してきました。それは「健康と結婚の関係」、「家電量販店と交際相手」・・・などなど、一見全く関係のないと思われるものたちの「つながり」。こうした意外なAIの解析結果をもとに、独身のマツコと有働が結婚について大激論。専門家たちと平成最大の難問の解決策を探ります。
ということです。

 ここで言うAI解析というのは、日本人・約20万人を8年間追った膨大なデータの中から交際相手のいる男女をピックアップして、この人たちに訊いた4000以上の質問を分析し、関係の深い項目をつなげてネットワーク図にするというものです。その上で一年後に結婚していたグループと破局したグループ、男女別に分け、それぞれどんな共通性があるかをみるものです。

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 例えば男性の場合、「出身地と違うところに居住している」と答えた人は結婚しやすく、その人は同時に「独立起業はしたくない」「毎年検診を受けている」「子どもと余暇を楽しみたい」といった回答をする傾向があります。逆に破局を迎えた人たちは「電子マネーは使わない」と答え「小物類に金を使いたい」と考え「エスニック料理に行く」「筋トレやヨガに無関心」といった回答をしています。
 コンピュータは傾向を示すだけで意味を語るわけではありません。そこで番組の出演者がなぜそうした傾向になるのかを話し合うわけです。

 

【不健康な人は結婚しやすい】

 男性のネットワーク図を見て、司会のマツコ・デラックス有働由美子がまず目をつけたのは、「動悸や息切れがする」「目が悪い」「耳が遠くなる」といった不健康にかかわる回答をするグループは結婚しやすいという点です。
 そこで番組は、婚姻率と出生率が全国一位の沖縄県に向かい、沖縄の人たちがほんとうに不健康なために結婚するのかどうかを調べるのですが、もちろんそんなことはありません

 婚姻率や出生率が高いのは「貧乏人同士が経費節減ということで結婚するからではないか(沖縄の一人当たりの県民所得は全国最下位)」「他にやることがないから。海しかないから(さずかり婚率全国一位)」といった、可能性を感じさせるいくつかの理由が挙げられたあと、健康に関する驚くべき事実が語られます

 それは平成2年を境に、全国1位だった男性の平均寿命が、5位(平成2年)、26位(同12年)、30位(同22年)、36位(同27年)とガタ落ちに順位を落としていくというものです。一方、婚姻率はそれに連れて鮮やかに上がっていきます。

 番組はそこで、婚姻率が上がったのは具体的な不健康のためではなく、健康に関する危機感のためではないかと考えます。
 平均寿命1位陥落後、行政もテレビコマーシャルで健康不安を掻き立て、企業は検診を制度化し、市町村レベルでは保健指導の家庭訪問まで始めるところも出てきます。
 そうなると否が応にも健康・生存問題は具体的な課題となって目の前に突きつけられます。


【生存が危ぶまれると子孫を残したがる】

 生存が危うくなると子孫を残したがるというのは植物や菌類に顕著です。

 例えばキノコ類など、一番楽なのは地中でのうのうと菌糸を延ばしているときです。ところが何らかの事情によって生存の危機が訪れると地上に菌糸の先を延ばし、そこから胞子を空中にばらまくというアクロバティックでギャンブル性の高い所業に出ます

 代表的な危機は寒くなること、つまり秋が深まるとキノコは一斉に地上に顔を出して傘を広げようとします。自分が寒さのために滅んでも、胞子が行った先でより良い土地を発見し、そこで繁殖することを願ってのことです。
 またシイタケなどは原木に菌を植え付けたあと、金づちで叩いたりコンクリートの壁に打ち付けたりし成長を促したりします。それも危機意識を煽るやり方に違いありません。

 ランの一部は根詰まりをして苦しくなると花を咲かせます。自身が危うい以上タネをつくって後につなげなければならないからです。ブドウやトマトは水枯れ状態でおいしい実をつけます。スイカも寒暖差の激しい(夜になるとちょっとヤバそうな)土地の方が甘い実をつけたりします。

 私は動物のことはあまり知らないのですが、おそらく同じでしょう。

 人間の場合は、貧しい国や地域、あるいは日本でも貧しい時代は出生率が高かったものです。そこにはもちろん「子が働いて親を食わせる社会システムがあったこと」や「ほかにやることがなかった」という事情もあったかもしれませんが、とにかく子どもが大勢死にますから、その分を多く残しておかなければならない、という危機意識もあってのことでしょう。弱い者が多産なのはイワシの大群を見ても分かります。

 そう言えば、実際に数字として表れたかどうかは分かりませんが、東日本大震災の際、「きずな婚」とか言って急遽結婚を決めたカップルがいたのも、危機意識が造り上げた婚姻だったのかもしれません。


【これでは結婚しないわけだ】

 最近、母のプチ介護(大したことのない介護)ということもあってスーパーマーケットに行くことが多いのですが、そこで感心するのは総菜の多さです。
20mはあろうかという総菜コーナーの、右端から順に買って食べる生活を始めても一か月は優にもつ、そんな感じです。さらに生鮮食品も冷凍食品もありますから一人で生活してもまったく困らない。
 外食で良ければもちろんそれでいいですし、飽きたらスーパーに通えばいいのです

 アパートはたいていがバストイレ付きだから衛生面でも危機感は持ちにくい。超人手不足だからほとんどの若者に職があって生活自体に危機感がない、とりあえず近未来に不安がない。
――これでは結婚しないわけです。

 番組ではその他にも、「危機意識が婚姻率を高める」というアメリカの研究論文を紹介したり、最近、婚姻率や出生率を高めた国々の多くが若年失業率が高い、といった事実を示して危機意識と婚姻の関係性を補強しようとしていました。よく理解できるところです。

 ただしこれは男性に限った話なのです。
 女性の場合はもっと複雑で、厄介な事情があります。

                             (この稿。続く)