カイト・カフェ

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「過ぎたるは及ばざるがごとき女子」~少子化と非婚について考える2

 人生に危機感をもった男性は結婚したがる
 とても単純な話だ
 しかし女性は複雑な世界に生きている
 とりあえずそうした実態を知らないと
 話は先に進まない

という話。

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【男の子はバカだから可愛くて危険、という話】

 男の子が生まれたと聞いたり、小さな男の子を連れているお母さんに会ったりすると必ず言うのは、
「男の子は賞味期限が長いですよ」
ということです。
「男の子は小学校に上がっても可愛い。いやむしろ小学校に上がったころから本格的に可愛い。中学生になっても、高校生になっても、可愛いときは可愛い、とにかくバカだから――」

 男女一人ずつの子を育て、その関係でいつもお友だちの様子を見て来た私がつくづく思うのは、3歳までの子どもは、男の子は大したことないが女の子は天使のように可愛いということです。
 娘のシーナを育てていた時などは、事あるたびに背中に触れて天使の羽が生えていないか確認したくらいです。

 ところが「4歳」という声を聞いたころから突然「天使のような」といった無条件の可愛らしさは消えてしまいます。子どもがしっかりしすぎて単純に“可愛い”という訳にはいかないのです。

 ところが男の子はバカですからいつまでも憎めない、その分、可愛い――。何度でも同じ間違いを繰り返すから目が離せない。
 そしてその「バカだから同じ間違いを何度でも繰り返す」という点に十分留意していないと、男の子を育てるのはとても危険なことになってしまうのです。

 男の子は同い年の女の子に比べると格段に叱られることが多くなります。
 バカですから危険を顧みませんし、バカだから暴力的です。バカだから一度教えたことも忘れてしまいバカだから同じ過ちを繰り返します。そして一部の子は、何回も叱られている中で前向きな気持ちを失い、安易な方法で友だちから高い評価を得ようとしたりするようになります(オマエ、先公に逆らうなんてスゲエよな。オマエ、小学生なのにバイクの運転できんのか!?)。

 NHKスペシャルに関する昨日の話に出てきた「健康不安など、生存や生活に危機意識が生まれると結婚に近づく」という単純さは、まさに男ならではの話です。
 しかし女性はそうはいきません。

 

【過ぎたるは及ばざるがごとし――紙一重の女性たち】

 AIが解析した“一年後に結婚していたカップルと破局したカップルの特徴(男性編)”は結婚しやすいグループとそうでないグループが鮮やかに分離しました。
 ところが“女性編”(下図)は複雑で、よく似た同じ範疇の回答なのに、わずかな差でそれが結婚に結びつく場合とそうでない場合があることを示すのです。

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 例えば携帯・スマホに関して、
「携帯・スマホで情報入手」
「ネットで飲食店の口コミ見たい」
スマホを日常的に使う」
と回答した人たちはのちに結婚に至ったのに、ほぼ同じ範疇である、
SNSで情報共有・発信」
スマホゲームの時間を減らしたい」
「平日、ネットニュースを1時間以上」
の人々は破局に向かっているのです。

 あるいはファッション・美容に関して、
エステで脱毛したい」
「美容家電を持っている」
はいいが、
「ブランド品付きの雑誌を買いたい」
「CMで見た化粧品を買いたい」
「毎日体重を測る」
はダメ。

 これはかなり厄介な話で、女性には“ここまではいいがそれ以上はダメ”という見えない境界があることを予感させます。

 

【ガラスの天井とバカの壁

 番組のコメンテーターのひとりは、
「これは女性の生きずらさ――女はこうでなくてはいけないとか、こういうことだったらいいとかいうことがあって、そのかなりの部分は男性社会とか組織の責任であって、日本ではまだそういうところが十分変わっていないのではないかと思う」
と言っていましたが、私もそうだと思います。
 インターネットを使うのはいい、できなくては困るはが、あるレベルを越えてはまりこむような人とは一緒になれない、女性として身なりに気を遣うのは当然でそうしてもらわなくては困るが、やたらと化粧品を買って来たり常に体重を気にしたりするようではこれも困るといったことです。そうした言い方は、男性にはしないでしょう。

 ヒラリー・クリントンは大統領選挙の敗北宣言で、
「最高で最も困難な『ガラスの天井』は打ち破れなかった。しかしいつか誰かが、私たち考えているよりも早く達成することでしょう」
と言いましたが、女性の場合、ガラスの天井・ガラスの壁はいつも思わぬところに現れたりするのです。

 そうした女性の状況を分かったつもりで理解していないのが私たち男性の「バカの壁」です。

 女性は男性と違って子どもを産むことができる性です。生むか産まないかを主体的に選択できるのは女性の特権です。産むとなると職業人としてのキャリアの何分の一かを犠牲(ないしは執行猶予)しなくてはなりませんが、それもまた選択の枠の中にあります。つまり女性は、常に選び決断する運命を担わされているわけです。
 それが結婚することへの難しさにつながっています。

 男は単純でバカだというところから話を始めましたが、それは男性がもともと選択肢が少なく、女性に比べて決断の少ない、平板な人生を運命づけられているからかもしれません。あまり考えたり悩んだりすることなく生きていけるのです。

                             (この稿。続く)