不審者対応訓練のこと

 あちこちにクマが出た、イノシシが出た、シカが走り回ったという話がありますが、このところ不審者の出没も頻繁になっています。

 よく誤解されますが、不審者、特に露出狂は冬場に出やすいということご存知ですか? 理由は「コートを着る機会が多いから」だそうです。

 さて、私は男なのでうまく想像できないのですが、女性の先生方は間近で露出狂に出会ったらどんな反応ができるとお思いですか? あるいはいきなり触られるとか腕を掴まれるとかいった状況で、ご自分は何ができると想像されるでしょうか?

 破廉恥漢ではないのですが、娘が高校生のころ、自転車に乗っていて自家用車と接触事故を起こしたことがあります。青信号で横断歩道に入ったところ、右から乗用車がかぶさってきたのです。幸い娘も左に急ハンドルを切っていたので倒されることもなく、いわば一緒に並んで左カーブを切る感じで停まりました。そのとき自家用車の側面に頭をぶつけたのですが出血するほどではなかったようです。

 ドライバーが降りてきて、大丈夫? けがはしていない? どうする? 病院に行く? と続けざまに質問を浴びせてきたそうですが、娘の頭の中にあったことはただ一つ、「この車に乗せられてはならない」だけだったようです。

 かつて奈良県で知り合いの女子中学生にわざと車をぶつけ、けがをしたところを車に連れ込んで結局殺してしまったという事件がありました。ですから「車に乗せられてはいけない」は一方の見識です。ただし「大丈夫です」と答えてその場を離れた2〜3時間後、急で激しい頭痛に襲われた娘は、結局病院に運ばれて詳しい検査を受けることになりました。その費用は私の保険では賄えないので(事故加害者の責任だそうです)、結局4万数千円を自腹で払うはめになりました。警察に言っても“高校生にもなっているのだから最初の段階でしっかりやれよ(それにけがもしてないし)”といった感じで取りあってくれません。たしかにそのくらいは教えておかねばならなかったのかもしれません。

 さて、不審者に出会ったとき、事故にあったとき、あるいは逆に人にけがをさせたり物を壊してしまったとき、何をどうしたら良いのか。

 娘の場合その程度で救急車を呼べ、警察に連絡しろとは言えなかったでしょう。本当は「あとで何かあったらいけませんから、一応名前を控えさせてください」とか言って名刺をもらうなり免許証を控えさせてもらうなりすれば一番良かったのです。しかしそれも高校一年生の女の子には難しそうです。だとしたらできるのは「ちょっと待ってください。父に連絡してみます」くらいのことです。それでいいのです。

 小学生や中学生で携帯がないのなら、

「済みません。携帯貸して下さい。ウチに連絡してみます」

 何かあったらとりあえず親に相談する―それは最も優れた方法です。

 では痴漢や暴漢に出会った場合はどうするのか―とりあえず相手がひるむくらいの大声が出せる練習ぐらいはしておくべきでしょう。いやその前に、見知らぬ人との間の危険な間合いといったものを熟知させておく必要がありそうです。

 来年の不審者対応訓練、そんなことはできないでしょうか。