サンクコスト


 若い頃、一時期パチンコにのめりこんでひどい目にあったことがありました。もとよりギャンブルというギャンブルはことごとく弱い私ですから、やめればいいものを、性懲りもなく出かけてはスッテンテンになって帰ってくるのです。帰ってきて、途中でやめておけば良かったのにとホゾを噛むのですが、翌日になるとまた同じことを繰り返します。

 途中でやめなかったのは、「あと1回つぎこめば元が取れるかもしれない」というお定まりの誘惑のためです。これがギャンブルの本質です。

 さて、私は最近「サンクコスト」という便利な言葉を覚えました。これは「埋没費用」と訳され「事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用」のことを言うのだそうです。

 パチンコの例で言えば、1000円ほど使ったところで「これはサンクコスト(回収できない資金)」と諦めて、残りの金を有効に使えばいいわけです。

 私たちの仕事は収益を目的としていませんからこうした経済用語を利用する機会は少ないようにも思いますが、案外なところに使える場合もあるのかもしれません。

 例えば生徒指導において、「この方向で攻めればきっとうまく行く」と思っても、一定の努力と時間を費やした段階で「サンクコスト!」と叫んでその方法を放棄し、別な方向から攻めた方が拠り早い解決に結びつくかもしれないといったことです。

 数学の問題を解いているときなどには、そういうこと、よくありましたよね。