10月になった。
あれほど暑かった夏も終わり、さすがに秋の気配。
落ち着いた雰囲気をとり戻しながら、
子どもたちにも10月を教えてあげよう。
という話。(写真:フォトAC)
【10月になりました】
10月になりました。
今年になって10番目の月で31日間あります。平年だと10月と1月はカレンダーの曜日が同じになるのだそうで、だとしたら2024年の元日は火曜日だったということになります。しかし実際には月曜日でした。考えてみると、今年は閏年。それで曜日がひとつずれたわけです。
日本では「10番目の月だから10月」と分かり易いのですが英語は厄介で、10月の英語名Octoberの接頭辞octoは8を表すラテン語に由来しているのです。8本足のタコ(octopus)や8音階オクターヴ(octave)の語源ともなっています。八角形はoctagonと言います(ちなみに五角形はpentagon)。
古代ローマでは紀元前46年までMarchを年初とする暦を使っていたので、Marchから数えて8番目の今月10月が「October(8の月)」という妙なことになってしまいました。それでも替えようがなく、そのまま現在に至っています。日本で1月にウグイスが鳴いたり、7月上旬の梅雨の真っ最中に七夕デートを設定したりしているのと、ある意味で一緒です。伝統の一部は形式が優先します。
ちなみにFebruary(2月)が28日と日数が少なく、4年に一度、日数を増やして暦のずれを修正するのは、それが古代ローマでは年末であったからです。
日本では旧暦10月を神無月(かみなづき、かんなづき)と呼び、新暦になっても10月の別名として用いることが少なくありません。
「神無月」の語源は不明で、しかし有名な話として、
「10月は全国の神様が出雲大社に集まって1年間のことを話し合うため、出雲以外では神様がいなくなる月(=神無月)、出雲地方だけは神在月(かみありづき)という」
というのが残っています。
もっともこれは平安時代になって言われ始めた説であって、根拠のある話ではないようです。また日本中の神様といっても本当に地域の神様がゼロになっては心配なので、田の神・家の神の役割を果たす留守神様が、地元に残って私たちを守ってくれているみたいです。
私は日本の宗教の、こうしたご都合主義みたいなところがとても好きです。キリスト教やイスラム教の容赦ない厳しさには耐えられないと思うことがしばしばです。
出雲大社には十九社(じゅうくしゃ)という社があり、神在祭の間(旧暦10/11~17)、大社に集われた全国各地の八百万(やおよろず)の神の宿所となっています。私も一度行ったことがありますが、とても不思議な感じのする空間でした。
【カンナさんは10月生まれ?】
弥生・五月といった名前の女性が基本的に3月・5月生まれであるように、「かんな」という名の女の子は10月生まれが基本ですと、ずっと思っていました。ところが、例えば昨日から始まった朝ドラの主人公・橋本環奈さんは2月生まれ、将棋の鈴木環那さんは11月生れです。
10月生まれのカンナさんとしては神津義行・中村メイコ夫妻の長女・神津カンナさんくらいしか見あたらず、妹のはづきさんは8月生まれですから、もともとそういう意図でつけたのでしょう。正式な表記は「カンナ」さんが「神津十月」、しかし「はずき」さんは「神津はづき」のままです。今回、確認のために調べたら、母親の中村メイコさんの本名が旧姓で「中村五月」。やはり五月生まれでした。
神津義行・中村メイコ夫妻と言っても知る人は少なくなりました。今は「神津はづきさんの配偶者は俳優の杉本哲太さんですよ」というのが一番分かり易い説明かもしれません。
【10月の年中行事】
今日、10月1日は衣替え。先月は中旬が終わっても残暑厳しく、どうなることかと思っていたのですが、「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、秋分の日を過ぎたらとたんに過ごしやすくなりました。とは言っても「今日から冬服」では厳しい地方もあるかもしれません。天気予報と睨めっこしながら工夫するしかないでしょう。
平安時代に始まった行事のようで、宮中では扇や調度品も冬仕様に変えたそうです。私にとっては思い出深い日で、小学校1年生の担任をしていた時に子どもに紹介したら、「子ども替え」と聞き違えて表情の引きつった子が何人もいました。加齢で私の活舌も悪くなっていたのかもしれません。まだ月一回、第4土曜日だけが休みのころで、その前日、
「ライオン土曜日ガオー!」
とか言って元気に下校する子どもたちを見送っていた時代のことです。
10月の第2月曜日はスポーツの日。
もともとは第1回東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を記念して行われた行事「体育の日」でしたが、三連休をつくるための「ハッピー・マンデー」によって10月の第二月曜日となり、名称も「スポーツの日」に変えられました。何も英語にする必要はなかったと思うのですが――。今年は14日がその第二月曜日です。
旧暦9月13日にあたる現在の10月15日前後のお月見のことを十三夜と言います。今年は10月15日で、栗や豆の収穫を祝う行事でもあります。
粟や豆の収穫で思い出しましたが、今月中下旬から地域によっては「紅葉(もみじ)狩り」のシーズンに入ります。紅葉狩りというのは、秋に山や野山・公園・庭園などに出かけて紅葉を鑑賞する行楽行事です。イチゴ狩りやブドウ狩りと違って何かを収穫するわけでも、食べられるわけでもありません。それなのに「狩り」という言葉を使うレベルの高い情緒。
いかにも日本的でぜひ残したい言葉、行事だと思います。
10月31日は万聖節の前夜祭「ハロウィーン」
古代ケルト人の言い伝えで10月31日は冥界と現世の境界が曖昧になる日、魑魅魍魎が跋扈する日となっています。そこで人間も化け物や怪物の扮装をして魑魅魍魎に紛れ込んだり、逆に怖がらせたりすることで身を守るのだそうです。しかしこのコスプレ行事、ほんとうに日本人ためにあるようなものです。好きですからね。
事の良し悪しは別として、アメリカ人がハロウィーン目的に10月末の日本を訪れるなど、かつて誰が想像できたでしょう?
その他、10月に行われる海外の行事に関する面白いがありましたので、リンクをつけておきます。英語のサイトですが、ブラウザの翻訳機能などを使って読めばいいのですから、楽な時代が来たものです(サイト内にいくつものリンク切れがあります)。