【二つの美術展をハシゴしてきた】
所用があって娘の家に行ったついでに、ふたつの美術展を見てきました。
東京都美術館の「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」
と、
国立西洋美術館の「国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」
です。
nature2022.jp 両方とも有名美術館の収蔵品展で、私はこういうのが苦手です。特に東京都美術館の方は日本では無名に近い画家の絵がたくさんあって、少し楽しめない感じがありました。ルネッサンス期のスコットランド絵画と言われてもピンときません。
よほど絵画史に詳しい人か、絵画を絵画として純粋に理解したり楽しんだりできる人でないと無理なのかもしれません。やはり私には鑑賞者としての能力に欠ける部分があるようです。
国立西洋美術館の方はドイツと日本、それぞれの偉大な収集家の所蔵品を揃えたもので、展示されているのは有名な画家の絵画ばかり。さすがに見応えがありました。
こう言っては失礼ですが、スコットランドの有名画家と世界的画家との間には、絵の分からない私にもはっきりと感じられる力量、才能の違いがあるようです。
ただし、個人展ではないので題材や画風が作品ごと異なり、作品ごとにいちいち気持ちを切り替えて鑑賞しなくてはなりません。それがけっこう難しいことでした。
一年に1~2回しか行かないのでどうしてもメジャーな美術展になります。しかしもっといい展覧会もきっとあるはずです。
【西郷さんを探して――】
さて、やや消化不良気味で上野公園をあとにしようとした私は、突然思いついて懸案のことをしようと決心します。西郷隆盛像を探すという仕事です。
この20年間だけでも20数回は上野公園に来て、そのうち最低5回は西郷さんの銅像を探したのですが、ついぞ見つけられずにいるのです。そんなバカなと思われるかもしれませんが、上野公園の南端にあるはずの、犬を連れた西郷隆盛の巨大像が、どうしてもみつからない。
私は極端な見栄っ張りですが、見栄っ張りでなくても数十メートル以内にあるはずの銅像を「どこにありますか?」と訊ける人も少ないと思います。私が何度も行ったり来たりしても見つからない像ですから、もしかしたら案外多くの人たちが知らないのかもしれません。うっかり聞いて恥をかかせてもいけません、などと様々に言い訳して今日まで来ましたが、そろそろ私も今生の別れかもしれないのです。そこで今回は地図を頼りに、そこまで行くことにました。
そして、見つけました。
上野公園最南端の上野警察署公園前交番から公園に入り、幅の広い長い石段を登り切って、右手後ろに商業施設「上野の森さくらテラス」屋上出入口を見て、左前にレストランとカフェの複合施設「グリーンパーク」を確認し、その間を真っ直ぐに上野動物園方向に歩いて50mほど。そこで止まって右向け右! するとちょうど正面に西郷隆盛像はあるのです。
分解写真風に並べると、こうなります。
*分解写真なんて言葉、平成以降生まれは聞いたことないだろうな。
写真は意図して右側だけを写していますが、まっすぐ前を向いて歩けば進行方向に対してほぼ直角の位置で、時間にして4~5秒間だけ見える風景です。これでは気がつかないわけです。
年来の謎が解けました。これで上野公園に思い残すことはありません。そしてこんなふうに懸案をひとつひとつ潰して、なんだかほんとうに死出の準備をしているような気がしてきました。