兆の世界

 先週の授業研究会の最中に「動物は体重1kgにつき、1兆個の細胞でできている」とういう話が出てきました。66kgの私は66兆個の細胞からできていることになります。しかしこの「兆」という単位、これがなかなか曲者で、どうにもこうにも感覚的につかめないのです。私も経済で「日本の国家予算92兆円」と言ったときに説明に窮します。

 そこでいくつかの計算をしてみました。たとえば1mmずつ1兆mmまで計って行けば、東京あたりまでいけるかどうかと言うことです。

 すると、

 1兆mm=1000億cm=10億m=100万km

 ということになります。地球の周囲は約4万kmです。つまり1mmずつ1兆mm計っていくと、なんと地球を25周もしてしまうのです。東京どころではありません。

 では1秒につき1回ずつ木魚か何かを叩き続けると、1兆回目(1兆秒後)はいつ叩くことになるのか、計算してみます。

 1兆秒=166億6666万6667分=2億7777万7778時間

                           =1157万4074日=31710年。

 つまり、3万2千年近くかかってしまうのです。一人の人間になしうる業ではないというか、もしかしたら人類にもできないことなのかもしれません。

 これではまったくイメージがわきませんから、別の方法を考えましょう。1万円を1単位とするともっと掴みやすい数字になるかもしれません。

 1万円札の厚さは0.1mm。ですから100万円の束は1cmです。案外少ないですね。ではそれをレンガのように積んで1兆円にするとどれほどの高さになるでしょう。

 1兆円÷100万円×1cm=100万cm=1万m=10km

 富士山の3倍弱。ジャンボジェット機の巡航する高さです。

 その紙幣の重さは100トン。大型の10トントラック10台分にもなります。

 まだイメージがつかめません。

 ではその1兆円で買い物をして見ましょう。

 ところが高価なものとなると、さすが1兆円あっても意外なほど買えないことが分かります。

 ジャンボジェット機(200億円)は50機買えるだけです。

 ドーム球場(500億円)は20個つくると終わりです。

 東京スカイツリーは総工費600億円ですから、これを16.6本立ちます。これはちょっと壮観です。

 現在の平均的サラリーマンの生涯賃金は2億9000万円(大卒男性)。もちろんここから税金や保険料が引かれますから手元に入る金額はぐんと下がりますが、1兆円はそうしたサラリーマンが3448人で一生かかって稼ぎ出す金額です。

 結論、どうやっても1兆を感覚的に掴むことは難しい。