ケータイと携帯

 私の持っているのは携帯電話です。使用頻度からいうと電話として利用している回数が圧倒的に多く、メールやインタ−ネット・サイト閲覧といったことは極端に少なくなります。また、これを通じて妻から再三用事を言いつかりますから、その意味ではリモコンの受信機とも言えます。妻の持っている携帯がコントローラです。

 しかし今の子どもたちが持っているのは、携帯電話ではありません。それはメールの送受信機としての働きが一番大きく、ついでサイト閲覧機、音楽の受信再生機、多機能写真機、簡易ビデオ撮影機、そして最後に電話機です。そうした多機能装置ですから、携帯電話ではなく「ケータイ」とカタカナ書きします。

 ケータイとしての私の装置には30人ほどのメール・アドレスが入っています(それが多いのか少ないのか分かりませんが)。100人以上入っている人もいれば、ゼロのひとだっていますが、平均を20人ほど(と少なめ)に見積もって、ここから架空のチェーンメールをやってみます。

 私が20人にメールを送り、受け取ったそれぞれがまた20人ずつに送ると考えるのです。すると、

第一世代で20人   第二世代は400人(20×20)  第三世代で8000人 

第四世代で16万人  第五世代で320万人        第六世代で6400万人

第七世代で12億8000万人

と、七世代に入ったとたんに日本の全人口(1億2000万人)を越えてしまいます。

 別な言い方をすれば

私のケータイの7台向こうには、やくざもいれば犯罪者もいるストーカーもいる

ということです。(ついでに言うと、次の世代で256億人。地球上の人類は60億人ですから宇宙人も巻き込まないとこのチェーン・メールは完成しません)

 居間で一緒にくつろいでいる最中、娘がケータイ・メールでやり取りしている相手は実は新宿歌舞伎町から返信している、といったことは大いにありそうなことです。5年ほど前、県内の○○市から行方不明になった小学生は、出会い系サイトに書き込みをしてからわずか二日後に、男とともに家出しています。

 子どもの登下校の心配のために持たせる親もいますが、これもばかげたことで、一連の幼女誘拐殺人の先駆けとなった奈良の事件では、被害者の少女はGPSつきのケータイを持っていたにも関わらず、あっという間に車に乗り込んでしまい(目撃者がいました)。その遺体の写真が、少女本人のケータイから母親の携帯にメールの形で送りつけられました。さらに「今度は妹を狙う」という脅迫も同じケータイから送られてきます。

 幸いこの学校には少なそうですが、小中学生のうちからケータイを渡すというのは、そうした危険を冒すことです。しかし知ってか知らでか、安易に渡す親も少なくありません。

 将来の危機よりも目の前の子どもの喜ぶ顔が見たいと言う人は案外多いものです。ただしそんな場合にも、どうしてもしておかなければならないことがあります。それはケータイ購入の際、名義人を親にしておくことです。

 いざというとき、子どもがケータイを通して何をしているかは絶対知っていなければなりません。しかし我が子と言えど、契約上は他人ですからどんなに望んでも他人名義の電話の通信相手、通信時間、アダルトサイトへのアクセス記録などは絶対に教えてくれません。ただし自分名義なら堂々と「料金明細内訳書」の請求ができ、内容を知ることができるのです。