「すべての校則には理由(わけ)がある」〜ブラック校則をなくせ 2

 毎日新聞(2017.12.17付け)『茶色の髪問題契機「ブラック校則なくそう」運動スタート)には、『ツイッターで寄せられた「ブラック校則」の例』として以下のようなものがあげられていました。 ・パーマ禁止、「くせ毛届」の提出 ・眉毛と髪の毛をいじってはいけない(30代男性、国公立高) ・女子の下着は白のみ。スカートをめくられてチェックされた ・カーディガン禁止(20代男性、私立高) ・日焼け止め禁止 ・通学は徒歩以外、許されず、水分補給も禁止 ・カップルは一緒に帰ってはいけない(20代女性、国公立中)  さすがに私も、“それを守らせられるんか?”とか“こんな校則つくったら先生たちが大変じゃん”という意味でカップルは一緒に帰ってはいけない」はいかがなものかと思いますが、他はすべて説明可能です。この校則ができた経緯がまざまざと目に浮かぶのです。 【学校が下着にまで口を出す理由(わけ)】  例えば「女子の下着は白のみ。スカートをめくられてチェックされた」。  これは半分言いがかりです。  メディアによっては「男性教師に(めくられた)」などというのもありましたが女性教師がやったってセクハラです。立派な犯罪ですから警察に訴えるべきでSNSでつぶやくような問題ではありません。「女子の下着は白のみ」とは別の話です。  その上でさて、  世間の多くの人は知らないかもしれませんが、この場合問題となる下着は下半身ではなく上半身なのです。最近の動向は知りませんが数年前までブラウスの下にパステルカラーの鮮やかな下着をつけてくるのが流行ったこと、ご存じありません?  青にピンクに黄色に緑、制服キャバクラじゃあるまい普通の学校でそんな下着を誇示されたらたまったもんじゃない! そう考えるのは古い感性でしょうか?    さらにたいていの場合、学校が対応するより早く近隣の方々や保護者からクレームが来ます。中には「娘がどうしても言うことを聞かないんです、学校の“決まり”にないって。何とかしてください」と親に泣きつかれることもあります、というかかなりある。  そこで内心「学校が下着指導かよ!」とか思いながらも文案化するのですが、それにしても学校の文書に「ブラジャーは・・・」とは書きにくい、そこで「下着」に落ち着きます。  ツイッターで上記の問題提起をした子どもはおそらくそうした事情を知っています。知ったうえでイチャモンをつけているとしか、私には思えません、現実に今も下着指導が行われているとしたら。 【現代の多様性に対応しきれない】 「眉毛と髪の毛をいじってはいけない」「カーディガン禁止」「日焼け止め禁止」もみな同じです。眉や髪やカーディガンや日焼け止めが問題なのではなく、そのいじり方や着方、日焼け止めの種類が問題なのです。  モヒカンやリーゼントやアフロやソバージュやスキンヘッドやウルフカットやネープレスやツーブロックやスパイキーやアシンメトリーやエアリーやツイストやトレッドやコーンロウ(もちろん調べながら書いています)やチョンマゲがいけないのです。  普通に髪を切りそろえて梳かしてくるのは構いません。  しかしだからと言って校則に、 「モヒカンやリーゼントやアフロやソバージュやスキンヘッドやウルフカットやネープレスやツーブロックやスパイキーやアシンメトリーやエアリーやツイストやトレッドやコーンロウやチョンマゲはダメ」 なんて書けませんでしょう? 書いたところでどこからツーブロックなのか、微妙なカットになると面倒くさい認定問題に巻き込まれます。 オウ! 俺の頭のどこがツーブロなんだよォ!  だから 「眉毛と髪の毛をいじってはいけない」 なのです。  カーディガンも着方によっては非行ルック(そういって悪ければ流行ルック)です。日焼け止めも20年前の女子高生が使いたがったのはむしろ“日焼けしちまった”風のものでした。  ついでに言うと、リップクリームも「色のついたものはダメ」と言ったらラメの入ったキラキラリップが出てきました。ラメは色ではないそうで・・・。 【地域の要望】  しつこくなりますが、 「通学は徒歩以外、許されず、水分補給も禁止」 も成立の過程が目に浮かびます。  高校の場合は通学範囲が広いですから、田舎では自転車通学の許された学校もあります。しかし1000人もの生徒が一斉に自転車で登校したらとてもではありませんが収容しきれません。都会の高校ならなおさらです。だから自転車通学は制限されるか、ほかに交通手段のある場合は禁止となります。  しかし乗ってくる子は乗ってくる。その場合自転車は日中、学校付近で放置自転車となるわけで、当然学校にはクレームが入る、そこで再度、再々度禁止令が出るわけです。  おっと、上記のつぶやきは「バスも電車もダメ」という意味も含んでいるのかな?  だったらそれはイチャモンでしょう。  私は自宅から12km離れた高校に夏は自転車、冬はバスの乗り継ぎで通っていましたが、それも「徒歩以外許されず」だったらそれこそSNSではなく、人権委員会に訴えるべきです。そんな非人道的な学校の話など、聞いたことがありません。  さらに飲み物の件――。  街にあちこちに空き缶やペットボトルが散乱している。よく見ると〇〇高校の生徒が多数、学校の行き帰りに自動販売機で買っては道すがら飲み捨てている、そこで学校にクレームを入れる。犯人のひとりが捕まる――。 (教師)オマエ、昨日の学校の帰りにジュース買って、空き缶、捨てたろ。 (生徒)そんなの知らねえよ。 (教師)しらばっくれるんじゃあねえ! 飲んでいるところ見たってやつがいるんだよ。 (生徒)飲んだかもしれんが捨てちゃあいねえ。 (教師)じゃあ空き缶、持ち帰ったッつーのか? (生徒)当然よ。オレいい子だモン。いつだって空き缶は家に持ち帰ることにしている、母ちゃんからもそういわれているしよ!    このやり取りの帰結は「以後、教員は総出で放課後の街頭指導に出るようになりました」ではありません。ジュースを手にしている生徒が飲み終わってカバンに入れるまで尾行するなんて、とてもできないからです。1000人の生徒の5%がジュースを買ったとしても50人です。その子を発見して尾行するには50人の教員でとてもではありませんが足りません。  かくして「水分補給も禁止」になります。缶を捨てるかどうかという判定の難しい問題(認定問題)を、手前で阻止してしまうのです。  そうした事情も知らされずいきなり「水分補給も禁止」なんて言われると、普通の人はびっくりしてしまうかもしれませんがね。  さて、ここまでいろいろ考えて来て、改めて毎日新聞の「ブラック校則の例」を見てみると、別の色合いに見えてきません? ツイッターで寄せられた「ブラック校則」の例』  ・パーマ禁止、「くせ毛届」の提出 ・眉毛と髪の毛をいじってはいけない(30代男性、国公立高) ・女子の下着は白のみ。スカートをめくられてチェックされた ・カーディガン禁止(20代男性、私立高) ・日焼け止め禁止 ・通学は徒歩以外、許されず、水分補給も禁止 ・カップルは一緒に帰ってはいけない(20代女性、国公立中)                                   (この稿、続く)