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「子どもの学力を上げるために」~ほんとうにやるべきは”子どもの授業力向上”なのかもしれない

  児童生徒の学力を上げるためにどうするか、という話になると必ず出てくるのが「教師の授業力向上」であり、それ以外の方策はほとんど出てきません。しかし教育方法の研究というのは明治時代から行われているものであって、過去100年間にできなかったものが、今日明日のうちに突然完成するとはとても思えないのです。

 もちろん、授業の最初には、必ず学習問題ないしは学習課題を黒板に書きましょうとか、必ず1回は話し合いの場面を持ちましょうとか、あるいは「まとめ・振り返り」の場面を毎時間つくりましょうといったことは、是非ともしなければならないことですし、頑張って毎日続けているうちに必ず成果の出てくるものです。
 しかしそうした、いわば定評のある方法を越えて、突然、授業力のアップする方法など実はないのかもしれません。

 もちろんそのための努力は続けなければならないにしても、教師の授業力向上に腐心するあまりに、今できる別の有効な方法が、おろそかになるようでは困ります。
 学習の場には、その主体である児童生徒がいます。教師がいます。教材があります。そして学習者を取り巻く環境があります。私たちは「教師」の授業力向上ばかりに目を奪われますが、主体たる児童生徒は勉強向けにほとんど改造されていません。

 学習環境として教室の飾り付けや掲示物は整えられていますが、クラスの集団が「学ぼう」「勉強しよう」「知ろう」「うまくなろう」といった雰囲気をかもし出しているかと言うと、これもかなり怪しくなります。つまり人的環境が整っているとは言い難い場合があるのです。
 教材教具は、予算の制約もあって、ほとんど十年一日です。

 繰り返しますが、教師の授業力向上とともに、他にも手をつけなければならないこと、できることはたくさんあるのです。そして時には、そちらのほうが早道だったりするのかもしれません。