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「台風娘サンサンはなぜ左巻きなのか」~台風の名前とメカニズム

 台風10号(サンサン)が上陸中です。
 鹿児島上陸後、まる1日たっても九州を出ない恐ろしい台風は、
 新学期が始まってもまだ近畿地方にいるらしいのだ。
 その台風の名前とメカニズムについて調べて来た。
という話。(写真:フォトAC)

【あまりにも遅い台風】

 2024年の台風10号が現在、日本列島を通過中です。
 昨日午前8時ごろに薩摩川内市付近に上陸した台風は12時間たった昨日の午後8時に至ってもまだ有明湾内にあり、ウェザーニュースの予想*1では本日15時ごろ、ようやく国東半島付近か九州を離れることになりそうです。その時点でも予想気圧985hPaというとんでもない強さです。
 夏休みの最後の週末が台風で一歩も外に出られず、おかげで家族総出の宿題仕上げも順風満帆。9月2日の月曜日は台風一過の清々しい空気の中を、新学期の学校へ向かう――そんな姿を想像したのですが、台風は2日の朝でも近畿地方、子どもたちの下校する15時ごろですら、飛騨山中にいるような予報です。通過点にいる人々をどれほど苦しめるのか――。九州地方の小中学校は今日一日を休みにするだけで済みそうですが、その先の中国・近畿・中部地方の学校は、気のもめる日々続きそうです。
*1:ウェザーニュース「台風10号サンサンの進路予想」
    ウェザーニュース「雨雲レーダー【予想60時間】」

【今回の台風と台風の名前】

 今回の10号にはサンサン(Shanshan)という名前がついています。太平洋を囲む14カ国が構成する台風委員会が2000年に定めた一覧表の18番目、香港が提案した名前で、本来は女の子名前だそうです。
 一覧表には各国がそれぞれ10個ずつ提案した全部で140個の名前があって、台風が発生するために機械的にふって行き、140個使い果たしたら最初に戻るようになっています。台風は毎年20数個発生しますから6年少々で一回りすることになります。日本からは星座の関わる名前が提案されました。

 台風の名前と言えば、戦後、アメリカ軍占領下でキャサリン台風だのキティ台風だのと女性の前をつけていた時代があります。故郷に残してきた妻や恋人が恋しくて、と言った説明を見たことがありますが、台風の恐ろしさを一度でも知ったら愛する人の名前など付けないでしょう。「ひろ子台風」だとか「みさえ台風」だとか、身近な女性の名を口にしてみれば、どういう気持ちで女性名にしたかは容易に想像がつきます。
 気まぐれでどこに行くか分からないししばしば大暴れをするといったアメリカ人女性のイメージが、そのまま載せられているのでしょう。アメリカ国内では現在もハリケーンに人の名前を付けていますが、今は男女平等の考えから男性の名前もつくようになっているはずです。
 
 日本国内で台風は、その年に発生した順番で呼ばれるのが一般的です。昭和のあいだは特に被害の大きかった台風について、「室戸台風」だとか「伊勢湾台風」だとか被災地の名前をとって記録に残した時期もありました。しかし今はそれもしません。地名が良くない記憶と結び付けられると、将来、難しい問題も出てくるかもしれないからでしょうね。
 
 現在の台風の呼び名については、気象庁のサイト*2に説明がありますので、そちらで見てみるとよいでしょう。また、台風に特化したサイト*3も何かと便利です。
2:気象庁「台風の番号とアジア名の付け方」
*3:「デジタル台風:台風画像と台風情報」

【台風娘サンサンはなぜ左巻きなのか】

 台風については、昔、かなり熱心に調べたことがあります。ネット時代のはるか以前のことですからなかなか大変でした。
 きっかけとなったのは劇画の「ゴルゴ13」で、ゴルゴがオーストラリアから来たスナイパーと1000mの距離を隔てて撃ち合いをした場面で、「コリオリの力」というのが出て来たことです。地球上には北半球で動くものすべてを右に、南半球では左にずらす「コリオリの力」というものがあり、銃弾が左にずれる南半球から来たスナイパーは、北半球で照準の十分な修正をしなままゴルゴと対戦したため、弾はかすりもしなかったという話です。

 そのとき最初に思い出したのが台風です。北半球では当然「風」も右にずれて流れるはずです。「それなのに台風はなぜ左巻きなのだ?」、それが最初の疑問です。ネットのない時代には分かるようでなかなかわからない、大問題でした。
 「分からない」と言えば、台風はなぜ北上するのか――それもいったんは北西に向かい、途中で北東に進路を変えて抜けていくのはなぜだ? 単純そうなのにこれも意外な難問でした。

 それらについては既に何回も書き、4年前には改めてまとめたページも作りましたので興味のある方は読んでいただけるとありがたいです。

  1. 「台風」の語源・台風が左巻きの理由→2020.09.03「台風(9号)が行って、台風(10号)が来る」~台風に関するウンチク、あれこれ① 
  2.  台風はなぜ右カーブを描いて日本に来るのかと、台風の名前→2020.09.04「台風は弧を描いてやってくる。そして名前」~台風に関するウンチク、あれこれ② 
  3. 台風の日、実は管理職はそれなりにがんばっている→2020.09.07「校長たちの台風対策」~台風に関するウンチク、あれこれ③

 新学期のはじまり、なかなか苦しいものもありそうですが、来週からも頑張りましょう。