カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「同じことと異なること」~異文化理解の肝

 弟が大学生のころの話ですから、何十年も前のことです。フルーツ・パーラー・タカノで有名な新宿高野ビルの何階かに「ワールド・レストラン」というものがあって(今でもあるのかな?)、弟はそこでアルバイトをしていました。

 ある日、バイトの先輩の一人が「面白いものを見せてやる」というのでついて行くと、インドカレーのコーナーで別の先輩の作ったカレーを、インド人シェフに食べさせようとしているところでした。味見をしてもらう、といった話だったようです。

 シェフがある程度口に入れ、味について感想を言い始めた時、先輩の一人が「実はそれ、ポークカレーなんです」と告げました。それを聞くとインド人シェフは(おそらくイスラム系のインド人か、パキスタン人だったのでしょう)すさまじい勢いでトイレに駆け込み、指を口に入れてゲーゲー吐いたそうです。

 残酷なことです。

 インド人が牛を食べないのはそれが神聖な生き物だからです。イスラムが豚を食べないのは、それが悪魔の使いだからです。弟の先輩たちはシェフが豚肉を食べないことは知っていましたが、食べないことの重さについては知りませんでした。もし知っていたら、その人たちだってきっと思い留まっていたはずです。無知はしばしば犯罪的です。

 今日はたくさんの外国の方が見えます。子どもたちはどういうことを学ぶでしょう?
 国際理解というのは「同じだが、違う」または「違うけれど、同じ」という正反対のことを同時に学ぶことだと、私は思っています。人間として同じ部分が非常にたくさんある、しかし天と地ほどに異なる部分もあって、私たちはそれを互いの尊重しあわなければならない。それができるようになるためには、ものすごくたくさんのことを学ばなくてはなりません。