カイト・カフェ

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「お盆が終わって・・・もう新学期が始まっている学校があるよ」~日本の教育制度、どうなっているのだ?

 盂蘭盆(ウラボン)と聞いて「裏本」を思い出す罰当たりは地獄へ行け!
 一年に一遍、祖霊を迎える日だぞ。
 そしてお盆が終わると早くも新学期のはじまる自治体がある。
 今月いっぱい夏休みの地域と何が違うのだ?
 という話。(写真:フォトAC)

盂蘭盆(ウラボン)と聞いて「裏本」を思い出すヤツは地獄へ行け!】

 釈迦の弟子で神通力第一と言われた目連尊者(もくれんそんじゃ)がその神通力をもって亡くなった母親の様子を覗うと、母は地獄に落ちてそこで逆さづりの刑にあっていた。それを怖れて相談すると、釈迦は、
「夏の安居(あんご:修行の集まり)のあとの7月15日に僧侶たちを招き、多くの供物をささげて供養すれば必ず母親を救い出すことができるだろう」
とおっしゃった。そこで言われたとおりにすると、母親は無事に地獄を脱し、極楽に往生できたという。

 やがて7月15日の供養は亡くなったすべての人々を救うために常態化され、「逆さづり(古代インドのサンスクリット語でウラバンナ)」に由来する法会を行うこととした。これを中国では「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と表記し、日本に渡ってからは「盂蘭盆(うらぼん)」「お盆」などと省略されて定着した。
 したがって「裏盆」があるからと言って「表盆」があるわけではなく、食器を乗せる丸い「盆」を見つめても何の意味も見い出せず、ましてや昭和に社会の陰で流行した「裏本」に思いを馳せるようでは罰当たりである。

――以上が私の知っている「お盆」の由来です。しかしこれ以外にも様々な説があり、目連説はむしろ間違っているという話もありますから、少し眉に唾をつけてお読みください。もちろんこれが主流派の意見ですが。

【早くも夏休みが終わる】

 さてその「お盆」も終わって昨日の成田は帰国ラッシュ。高速道路もあちこちで渋滞が起こったようです。
 わざと時期をずらして海外旅行や帰省に向かう家族の子たちは除いて、子どもたちには今週・来週あたりはじっくりと腰を据え、夏休みの宿題や課題に取り組んでもらいたいものです。9月1日(金)始まりの学校なら今日を入れてあと12日間、9月4日(月)始まりの学校ならあと14日間と、夏休みはまだまだ余裕があります・・・と、しかしこれは普通の学校の話です。
 
 夏休みに入る前の7月20日に私がここで紹介した日本文化研ブログ「2023年夏休みの期間はいつからいつまで?小学校・中学校・高校・大学・幼稚園」によると、夏休みの最終日が一番早いのは岩手県盛岡市・北海道札幌市の8月20日、つまり昨日までで、次いで長野県長野市の8月21日、つまり今日までということになっています。もちろん引用したサイトが調べていない都道府県市町村もあるわけで、旧ツイッターの記載をみるとどうやら先週の木曜日(17日)に2学期始業式をやったところが最も早く、何の意味があるのか先週の金曜日(18日)に1日だけ登校させてまた土日休みに入った学校も、全国的には少なくなかったようです。
 こうした自治体の教員や児童生徒は、ニュース番組で、
「いよいよ夏休みも終盤~」
などと言うのを聞いて、そうとう苛立つかガックリしながら登校しているに違いありません。

【長期休業の日数に大きな差がある、そもそも登校日数に差がある】

 夏休み全体の長さを見ても、上のサイトでは最短が札幌市の小学校で26日間、最長は千葉市を始めとする42日間と、その差は16日間もあります。5日制の学校の枠を考えると、千葉市の小学生は札幌市の小学生に比べ、なんと3週間と1日も長く休んでいることになります。
 やはり札幌市の冬が長く、雪深く寒いために冬休みが長いからだろうと推測されますが、調べてみると、やはり札幌市の小学校の冬休みは12月26日(火)~1月21日(日)まで25日間もあるのに対して、千葉市は12月24日(日)~1月7日(金)までの15日間しかありません(日本文化研ブログ「2023年冬休みの期間はいつからいつまで?小学校・中学校・高校・大学・幼稚園」)。学校5日制で2週間も短いことになります。予想通りです。
 しかし夏休みは千葉市の方が3週間と1日長く、冬休みは盛岡市の方が2週間長いだけとなると、その差の1週間と1日はどうなっているのでしょう?
 
 さらに細かく見ると、夏休みの短さ第3位の長野県長野市の冬休みは、千葉市より2日多いだけの15日間。単純に夏と冬の長期休業だけを見ると、長野県は千葉県よりも夏休みが11日間も短かったのに、冬休みで取り戻せるのは2日間だけ。その差9日間、およそ2週間も多く登校しなくてはなりません。
「そこはそれで、長野市の子どもは別の機会に休みを取っているのだろう」
と想像されるのですが、そうでない可能性もあります。というのはベネッセの調査では、日本の学校の、
年間授業日数は196 ~ 205 日を設定している学校が多い(小学校約9割、中学校約8割5分)
 その枠内だけでも年間の授業日数に10日間(およそ2週間)もの差があるからです。
 ちなみに長野市の小中学校の(登校日数をまとめたものは見つかりませんでしたが)各校の年間暦を比べると、登校日数はおよそ205日±1日と、その枠の最大値付近にあることがわかります。もちろん206日以上の学校も全体の8%もありますから、全国的にはさらに1週間も長く登校する学校もあるわけですが――。

 それほど大きな差がありながら、同じ学習指導要領で教育がなされているというのが、やはりとても不思議です。