今日は終戦記念日、全国戦没者追悼式が開かれる日だ。
一年に一度、戦争でなくなった人を悼み、戦争を憎む日を持つ国。
その未来は戦勝を祝う国と自ずと変わってくるだろう。
それにしても子どもの夏休み中とは、返す返す残念だ。
という話。(写真:SuperT)
【終戦記念日(全国戦没者追悼式の日)】
78回目の終戦記念日です。
1945年、いまから78年前の8月15日、日本政府は正式にポツダム宣言を受諾し、連合国に対して無条件降伏しました。「敗戦記念日」といわないのは一種の矜持でしょうが、「終戦記念日」だから今日まで続いたという側面もあるのかもしれません。
ところで連合国側にとっても8月15日は終戦記念日または戦勝記念日かというとそうでもないようで、なぜかイギリスのみがこの日を対日戦勝記念日として、日本が戦艦ミズーリ号艦上で行われた降伏文書に調印した9月2日、もしくは各国で祝賀式の行われた9月3日をもって戦勝記念日としている国が多いようです。
アメリカ合衆国は9月2日、中華民国・中華人民共和国は9月3日、ロシアは9月2日と3日で揺れ動いていましたが、現在は9月3日だそうです。
もっともロシアの場合は、対日戦争に後から出てきて「漁夫の利」を得ようとした「ついでの戦争」ですから、対独戦勝利の日(6月5日)こそ心理的記念日で、「大祖国戦争戦勝記念日」という名称で毎年大々的に祝ってきたものです。今年は例年の大戦車隊の代わりに、旧型戦車1台をパレードに参加させて話題になった、あの式典です。
現在大きな戦争を継続中のロシア。終わった暁に「大祖国戦争戦勝記念日」はどうなるのでしょう?
第二次世界大戦におけるロシアの死者は軍人だけで866万8000人、民間人を含めると2000万人以上と、群を抜いて一けた多いのです。今後、世界の枠組みを根本から変えるような大戦争が起こってそれに勝利しない限り、ロシアは第二次世界大戦の勝利を誇示し続けることでしょう。したがって対ウクライナ戦争は大祖国戦争戦勝記念日に何の影響も与えないはずです。
そしてこのことはロシアの今後を永遠に規定し続けるはずです。
【戦勝を誇る国、戦争を悔いる国】
戦争に勝ったことを誇り続ける国と、戦いで多くの同胞を死なせてしまったことを悔い続ける国とでは、おそらくこの先の歴史が違ってきます。
戦後78年、戦争に直接的な責任を持つ人々の多くは亡くなり、その時代を生きた人々も少なくなっています。ですから今後も日本人は戦争を起こした責任を負うべきだという考え方に、私はまったく賛成しません。その意味ではもう忘れてもいいころだと思っています。
アヘン戦争というまったく不条理な戦争によって99年も租借し続けた香港を返還する際、イギリスはひとことの反省も詫びも口にしませんでした。戦争に勝った国は責任を負わなくてもいいが負けた国は反省し続けなくてはならない、というのでは正義が立たないでしょう。
しかし反省ではなく、戦争で亡くなった人を悼み二度と戦争を起こさないと誓い続けること、そのための式典を持ち続けることは、この国の発展と子どもたちのために、是非とも必要だと私は思うのです。
国の在り方が変わってきますから。
終戦記念日、全国戦没者追悼式が夏休みのさなかにあるのはとても残念なことです。この日を見越して1学期中に指導を深めておく先生もさほど多くはないでしょう(私も準備を怠った口です)。しかし「テレビを見ておきましょうね」くらい言っておけばよかったと、今ごろ後悔しています。
第二次大戦を振り返る番組をひとつ見るだけでも、戦争の悲惨さ無意味さ、そして決して再び起こしてならないことは、即座に分かるからです。