まだ2月の中旬だが、今から卒業式に語るべきことを考えておきたい。
式典の後の学級会に担任教師が語る言葉は、
その子が小学校で、あるいは中学校で、最後に受ける授業だからだ。
私は小学校6年生に、こんなふうに話した。
という話。(写真:フォトAC)
【五つの道】
(前段、その子たちとともに過ごした日々の思い出と、子どもたち自身がよくわかっていないその子たちのすばらしさについて伝えたあと――)
人間が力を伸ばし、望みをかなえるためには五つの要素があります。それは、
「強く願い」「素直で」「ひたむきに」「けなげに」戦う。そして良い意味で「恥を捨てる」
ことです。
いいですか。五つあります。
「強く願い」「素直で」「ひたむきに」「けなげに」「そして良い意味で『恥を捨てる』こと」
まず最初に、
「強く願うこと」
願いが強ければ強いほど実現の可能性は高まります。その願いの実現するイメージが具体的であればあるほど、さらに可能性は高くなります。誰かに目標を定めて「あんな人になりたい」とか、美容師が目標なら「これこれこういう美容師になりたい」とかいったふうに、目に見えるような目標にして強く願うこと、強く願い続けることです。
第二に「素直であること」
赤ん坊のような素直な気持ちで、親や先生の意見や友だちのアドバイスを受け入れる、そういうことのできる人だけが、成長を保証されます。いちいち逆らっていては何も始まりません。素直になれない人の耳にはどんなにすばらしい言葉も知恵も入ってはこないのです。「素直だね」と誉められることを一番の誇り、最高の喜びとしたいものです。
第三に「ひたむきであること」。つまり一生懸命努力すること。夢を実現するために努力が必要なことは、それはもう当たり前ですからこれ以上は言いません。
四番目は「けなげであること」
これは私の特殊な言葉の使い方ですが、今の自分の力よりちょっとだけ背伸びして続けること、それが「けなげ」です。できる範囲でがんばっても、それほど力の伸びるものではありません。ましてやいま持っている力の半分でやってしまおうとすれば、人間は成長などできないのです。
けれどだからといって、実力の何倍ものものに挑戦し続けると、人間はすぐに潰れてしまいます。今の自分の力よりちょっとだけ背伸びし続けること、それが「けなげであること」です。
最後に「(良い意味で)恥を捨てること」
大きな声で歌うこと、分かっていて当然のことも分からなければ聞けること、必要なことを誰にでも尋ねられること。歌や踊りや演技を、恥ずかしいといってうしろに引かないこと、積極的に発言できること、大きな発表や大役を進んで引き受けること、そうしたことはすべて人間を大きくしていきます。
まだ下手くそだからやりたくない、自信がないからやめておく、そういう人は力も延ばせず夢も実現できない人です。
「強く願い」「素直で」「ひたむきに」「けなげに」「そして良い意味で『恥を捨てる』」
卒業に際し、6年間とても素敵だった君たちに、これが私の送る最後のはなむけです。
最後に,
めでたく全員揃って卒業できるのも,これまできみたちの才能を伸ばすために昼夜を問わず温かい愛情を注ぎ、育てて来られた保護者の皆様、暖かく見守って下さった地域の皆様、さらには多くの先生方のおかげであることを心から感謝し、この卒業を受け止めてほしいと思います。
以上、きみたちの今後の成長を心から期待して、私の贈る言葉としたいと思います。
卒業、心より、おめでとう。