数年前、早く死にたいと思っていた時期があります。
悩みや問題があったのではありません。
社会人としての義務も家庭人として義務も果たし終え、幸せで、人生の頂点に立ったような気分だったからです。あとは下るしかないという頂点です。
しかしそれでも未練があるとしたら、ずっと気になっていた中国とか北朝鮮の行く末を見てみたい、という話は以前しました(2015/7/6「今、思うこと」)。それがこんなふうになるとは思いもよらないことです。
そして死ぬのがイヤになりました。
東アジアの行く末、きちんと見終わるまで死ねません。
というお話(空母ミッドウェイ)
【やはり気になる】
ブログの更新を休んでいた年末年始、頭の中にずっとあったのは韓国を中心とする東アジアの情勢、そしてようやく動き始めて、しかし方向違いにしか見えない「教員の働き方改革」の問題です。
それについてはすでに1月9日,休業明け最初の記事として記述しました(「東アジア情勢・教員の働き方改革はどうなっていくのだろう」~新年の不安 )。ずっと気になっていた二つをいちどきに書いたのは、きちんとやろうとするととんでもなく長くなりそうで腹がくくれなかったからです。むしろ簡単に済ませた方がいい――。
ところがそれから一週間。状況は悪くなる一方です。
【新聞の見出しに見る東アジア情勢】
昨日一日のオンライン・ニュースの見出しを並べただけでも、
韓国国民45.6%、文大統領の日本対応「もっと強く」(韓国:中央日報)
「リアンクール岩礁は紛争地域」…在日米軍、公開動画で独島にも言及(韓国:中央日報)
*「リアンクール岩礁」は日本名「竹島」、韓国が「独島」と呼ぶ島の英語名
japan.hani.co.kr もちろん私の恐怖心が恣意的に選んだ記事ですから強いバイアスがかかっていますが、半島情勢はとんでもなく恐ろしい方向に向かっているような気がしてならないのです。
【韓国が日本を見放し、アメリカが韓国を見放す】
ここ数日の日韓関係をみると、レーダー照射問題は全く進まないどころか「無礼で非紳士的」と完全に上から目線で言われ、国防白書からは「韓日両国は自由民主主義と市場経済の基本的価値を共有している」との表現が消されるとともに交流する国の順序も「日本・中国・ロシア」から「中国・日本・ロシア」に変えられてしまいました。「北朝鮮は敵」の文言もなくなります。
南北融和・日韓最悪と言われる中で、しかし韓国国民の多くが「文大統領の日本対応をもっと強く」と煽るため政府は後に引けない。
昨年の秋からの一連の出来事を考えると、韓国政府は本気で日本を見限ろうとしているのかもしれないのです。
一方、間に入って仲介すべきアメリカは在日米軍が発表した動画に見られるような穏な動きを始めます。
まず北朝鮮を初めて「核保有宣言国」と公式分類し、『北朝鮮の核を認めて大陸間弾道ミサイル(ICBM)や将来の核生産施設などに限って廃棄させる、いわゆる「核凍結」へ政策を方向転換しようとしているシグナルではないか』、という懸念を起こさせます。
つまりアメリカに届く核ミサイルさえ破棄してくれればあとはいいよ、経済制裁も解除しましょう、在韓米軍も縮小(乃至は撤退)しますという話にならないかと恐れているのです。
現在、米韓は駐留費を巡って交渉が滞ったままですが、トランプ大統領は韓国が金を出さなければいつでも在韓米軍を引き上げると脅しています。NATOからさえ脱退したいという人ですから韓国を助けなければならない理由も分からないのです。。
それよりもアメリカ国民を北朝鮮の核の脅威から救った男、朝鮮半島に和平をもたらした大統領という称号が欲しいのです。韓国や日本がどうなろうとあまり気になりません。アメリカ・ファーストですから。
最後の抑えのマティス将軍もいなくなってしまいました。
「リアンクール岩礁(竹島)は紛争地域」という表現は日本の主張に沿ったものである意味有難い見解です。しかし韓国から一歩距離を置いた表現と考えると単純に喜んでばかりはいられません。
アメリカは本気で韓国から手を引こうとしているのかもしれません。
【アメリカが手を引いたアジア】
民族自決の原理からすれば韓国の行方は韓国民に任せるしかないのですが、その文政権は一刻も早く第二回米朝首脳会談を開いて平和条約締結、経済制裁解除の方向付けをつくる、その上で北朝鮮の豊富な地下資源と安い労働力を使い、南北縦断鉄道と道路を利用すればあっという間に世界第7位くらいの経済大国になれるはずだと皮算用をしています。現今の経済問題など一瞬にして吹っ飛ぶはずだと――。
前にも書きましたが、朝鮮半島から米軍が手を引いて困ると思っているのは日本くらいなものです。
金委員長はもちろん習主席もプーチン大統領も文大統領もトランプ大統領も、時期はともかくこの地域から米軍がいなくなるのは大歓迎です。
では在韓米軍なきあとの日本の安全保障はどうなるのか――そこで俄然、前述の「日仏、自衛隊と仏軍空母の共同訓練に合意…仏英のアジアへの影響力拡大」が注目されるわけです。
米中対立がはっきりして来て、旗色をあきらかにしなければならないとき、韓国は向こう側に、日本はこちら側に方向性を定めたのかもしれません。
(この稿、続く)