(ピエール・オーギュスト・ルノワール「舟遊びの人々の昼食」)
「盆」が終わり、社会に日常が戻ってきます。
【お盆】
「お盆」というと和式のトレーとのつながりを訝る人もいるかもしれませんが、仏教でいう「お盆」はこれと無関係で、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を縮めたてさらに丁寧に言ったものです。
「盂蘭盆」はサンスクリット(古代インド語)のウランバナに由来するもので、元の意味は「逆さづり」だと言われています。
最も知られた伝承によれば、釈迦の弟子で神通第一の目連が、冥界に亡くなった母の姿を探したところ地獄で逆さづりの刑にあっており、それを釈尊に相談すると「僧が一堂に会して修行を行う最後の日に、皆で食物を供して祈ろう。そうすれば救われることになるだろう」ということになって仏教行事として定着し、今日に至るのだそうです。
もとは旧暦7月13日からの四日間の行事でしたから、現在では新暦の8月に行うのが一般的になっています。親戚が一堂に会して先祖を供養するのです。
子どもたちにとっては夏休みの真っ最中、親戚と会える楽しい日々ですが、側に詳しい人がいないかぎり、「お盆」の由来などの説明を聞くことはありません。
8月6日や9日(広島長崎の原爆投下)の意味、8月15日の過ごし方なども本来は学校で教えてやらなければ知識が公平に根付かないものです。私もきちんと押さえることはできませんでしたが、惜しいことをしたように思います。
【夏休み、先生たちは何をしているのか】
長い夏休み、先生たちは何をしているのか。
世の中には「部活くらいはやってるかもしれないけど、あとは休んだり遊んだろしてるんじゃネ?」くらいに思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。子どもが学校に来ないだけで、普通の公務員と同じように朝から勤務する生活に変わりはありません。
やっていることの多くは、研修会、講習会、各種研究大会。学校に戻ってくれば復命書の作成。校内にあっては職員会議、学年会、その他係会などの諸会議、一学期の成績や作品の整理、新学期準備。中学校では部活動、小学校はプール当番、そして日直当番。
もちろん学期中に比べるとずいぶん余裕もあり、始業時間に仕事をはじめ、終業時間に片づけて帰宅するという、労働者としてはごく当たり前の生活ができる短い期間でもあります。
また普段は取れない有給休暇の消化とか、時間休を取って歯医者に通ったりできるのもこの時期。銀行で記帳をするとか役所で各種の手続きをするとか、普段の昼間にはできないこともこの時期にまとめて行っておきます。
普通のサラリーマン同様お盆だからと言って特別な休みがあるわけではないのですが、夏季特別休暇というのが3日ほどありますのでそれを「お盆」に当てる先生が多いようです。そのため一般職が休暇を取りやすいよう、期間中は校長・副校長といった管理職が日直業務に当たる例が多いようです。
私が若かったころは「自宅研修」という制度があり、家でテレビを見たり山登りに行ったりするのも「研修」でしたが、今はそういうわけにはいきません。また公務員の週休二日制が始まったばかりのころ(学校が六日制だったころ)、同じ公務員なのに土曜日が休みにならない教員は夏休みにまとめ取りをしました。したがってかなりの日数、学校に行かずにのんびりと過ごしたものです。
それも今はありません。
勤務日はきちんと出勤して定時まで学校で過ごします。学期中は夜の8時〜9時まで働いるのに、その代休に当てることはできないのです。今考えても納得できませんが。
ボヤいても仕方ありません。
盆も明け、まだほとんどの地域で子どもたちの夏休みは10日以上残っていますが、先生たちは始動です。
私も来週からブログを再開したいと思います。