カイト・カフェ

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「子どもから目を離してはいけない」〜夏休み、子どもたちはどこにいるのか

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 昨日の北海道札幌市の最高気温、29.9℃。これを見て「ああやっぱり北海道は涼しいや」と思ったら判断力の低下、暑さで相当にやられています。
 29.9℃は「涼しい」と言っていい気温ではありません。昔なら本州南部でだってギャーギャー騒いでいたくらいの暑さです。北海道ではなおさらです。

 夏休みに入って一週間足らず、しかし猛暑は一向に収まる気配がありません。台風が近づいているので一気に状況を変えてくれそうな気もしますが、災害続きの現在、これに重ねて台風の被害まで引き受ける気にはなれません。
 それに夏はまだ始まったばかりで、台風が過ぎればまた暑い日が戻ってくるという予報も出ています。

【子どもたちは夏休みをどう過ごしているか】

 ところで、先週末、終業式が終わるまで、熱中症に関わる報道の一部には必ず小中学生の話題が出てきました。
 炎天下に校外活動を行うことの是非、学校にエアコンが設置されていない問題、一番暑い3時〜4時に下校させることの是非、プールの授業に関わること、部活動の問題等々。
 学校が夏休みに入ったことでそれらが一時的に棚上げとなり、世間は子どものことを忘れました。あたかもそれで熱中症を含む子どもの安全問題は解決したみたいですが、この暑い夏を、子どもたちはどこで過ごしているのでしょう?

 少し古くなりますがアクサダイレクトの2014年の調査によると、
 親が不在の場合、「子どもだけで留守番をさせる」が小学校低学年(1〜3年生)で34.3%、高学年(4〜6年生)で66.3%、「実家、親族、友だちに預ける」がそれぞれ49.4%、36.5%、「近所のお友だちと遊ばせる」が26.6%、32.4%、「公立の学童保育に通わせる」が22.1%、3.8%等々となっています。
 複数回答ですし「親が不在」も、「ちょっと出かける」程度から「フルタイムで一日中不在」まで、あるいは「塾」でも「一日中塾の中にいる」から「午前中のみ」まで様々な場合がありますから一概には言えないのですが、おおざっぱにまとめると以下の通りになります。(数値は前が低学年、後ろが高学年)

  1. 「子どもだけで過ごす」    78.8%、114.7%
  2. 「実家、塾など大人の管理下で」61.9%、 60.8%
  3. 「公立・私立の学童保育」   28.2%、  5.4% 
  4. 「その他、考えていない」   12.5%、  9.3%

 総計が371.6%ですからざっくり言って「子どもだけで過ごす」を選択した家が半数、「大人の管理下」が三分の一、「学童保育」が1割弱、「その他・考えていない」が残りといったふうになります。
 子どもだけで過ごす場合が非常に多いのです。

 親はその時間を「勉強で過ごしてほしい」「DVDやテレビ・ゲームで過ごしてほしい」「読書で過ごしてほしい」などと考えています(上記資料より)が、そんなわけにはいきません。さらにこの夏は特別な事情があり、子どもの動きが読みにくくなっています。学校のプール開放がほとんど中止になり、小学生の課外活動、中学校の部活動も極端に制限される、つまり行く場所が極端に減るのです。
 その間、子どもたちが冷房の効いた自宅で、40日間もおとなしく過ごしてくれると考えるのは、やはり無理でしょう。

【子どもから目を離してはいけない】

 夏休みが始まって子どもが学校から離れれば安全と考えるのは、気温30℃でも北海道だから涼しいと考えるのと同じくらい馬鹿げたことです。しかしそうした錯覚は自然に起こり、油断が生じます。今年の夏は特に危険だというのに。

 学校のプールが開放されなければ子どもは別の水場に行くまでです。近くに川や池があれば禁じられていても出かけます。決まりなんか覚えちゃいません。
 中学生の一部は部活がなければ友だちの家にしけこむか、冷房の効いたゲームセンターでも徘徊するしかありません。涼しい夜中の方が活動しやすいという子だっているでしょう。親が疲れ果てて寝ている時間に外に出かけます。

 小学生の中にはしょっちゅう「水分補給!」と言ってくれる大人がいなければ、飲むことを忘れてしまう子がいます。逆にのべつまくなし飲んで水筒をアッという間に空にしてしまう子もいます。公園の水道の蛇口に口を当て、水を飲むなんてことはしたことがありませんから、それでおしまいです。
 外に出るのに帽子を忘れる子はいくらでもいます。そういう子に限ってわざわざ帽子を取るために家に戻ったりしません。子どもは体調の異変に気づかず、限界を越えて遊んでいたりします。なにしろ子どもですから。

 大人に預けていれば安心な気もしますが、ところで学童保育には空調ありますか? 私の以前勤めていた児童館は学童保育も行っていましたが、空調はなく、全員が揃って室内に入る昼時は屋外より暑いくらいでした。それでも今年ほどの猛暑ではなかったので何とかなりました。今年は違います。

 だから夏休みはなくして子どもは学校が預かれというつもりはありません。
(昔はあまりにも「教師は丸一か月も仕事をしないで給料をもらっている」とか「子ども相手の楽な仕事をしていながらまだ休みたいのか」と言われるのに腹が立って、「エアコン入れてくれるなら夏休みなんかなくていい! その代わり観光地の家族連れはお盆の三日間だけだぞ!」とうそぶいていましたが、今は思いません)
 ただ、子どもは学校を離れたから安全というものではない、特に今年は危険だ、みんなで注意していこうと、そう言いたいだけです。