いよいよオリンピックが始まります。
現地、平昌および韓国はさっぱり盛り上がっていないという話もありますが、1998年の長野オリンピックの時だって開幕前は盛り上がっておらず、ずいぶん心配されたものです。しかし清水宏保がスピードスケートで金メダルをとり、里谷多英がモーグル会場でビンごとシャンパンを飲み干した瞬間に火がついて、紙くず同然に扱われていたボブスレーのチケットですらプレミアがついたと言いますから、平昌だってわかりません。
万が一、南北合同女子アイスホッケーチームが日本に勝って決勝トーナメントに進みでもしたら、韓国国民の民族意識は一気に燃え上がり、文在寅政権の支持率はうなぎのぼり上がるとともに、日米の思惑などなんのその、和平ムードは一気に高まって半年を経ずして北を中心とする統一は果たされてしまうかもしれません。
しかしそれはそれ。
東アジアにかかわる三ヶ国(中国・ロシア・統一朝鮮)がすべて核保有国となったら日本も追従せざるを得ず、20世紀の知恵はすべて忘れ去られて19世紀(日露戦争あたり)の領土獲得競争からやり直すだけです。
それもいいでしょう。
一方、先日のトランプ大統領の一般教書 演説では、北朝鮮 で拷問を受けて亡くなったアメリカ人青年の両親を紹介したり松葉杖の脱北者を紹介したりしましたが、これは核放棄しても人権問題を解決しない限り北朝鮮を認めないと宣言したも同然で、「人権問題を克服した独裁国家」はそれ自体が形容矛盾ですからアメリカは金正恩政権の存続を認めないと宣言したわけです。
北が朝鮮半島の統一を果たすのと合衆国が金政権を倒すのとどちらが早いのか、注目して見ていきましょう。
しかしそれらはすべて平昌オリンピック・パラリンピックの終わってからのことです。いまは競技そのものを楽しみ、選手たちを応援しましょう。
【超人たちの世界】
ところで、もう35年も前のことですが、私はミュンヘンオリンピック男子バレーボールの金メダリスト、嶋岡賢治に会ったことがあります。社会科教師として見学に行った日本鋼管で、案内の担当者が嶋岡だったのです。ちょっと驚き、感動しました。
驚いたのは1m90㎝近いというその高身長ではありません。当時であっても特に学校の体育教師にはそのくらいの人は珍しくありませんでしたから。
びっくりしたのは手の大きさです。あの手でバレーボールを握るのは、私がハンドボールを握るよりも容易ではないか、そんなふうに思えるほど大きかったのです。
考えてみれば、高身長で運動神経に恵まれ、よく努力する人なんて世界中にいくらでもいます。そうしたライバルを差し置いて世界の頂点に立つとしたら、そこには尋常でない、特別な何かがなくてはなりません。
今のスポーツ庁長官、鈴木大地さん(ソウルオリンピック競泳金メダリスト)の手には「水かき」があるそうです。14歳になったばかりのくせに「今まで生きてきた中で、一番幸せです」の名言を残した岩崎恭子(バルセロナオリンピック競泳金メダリスト)は、小学校4年生のときに全校マラソン女子の部で並みいる5・6年生を差し置いて優勝したそうです。
オリンピック選手ではありませんが、サッカー選手のゴン中山こと中山雅史はミカン農家の息子で、足が速く、しかも小さな頃から親の忘れ物を取りにミカン山と実家を何往復もできたといいますから、大したものです。
スポーツで名を成すような人たちは、私たちが思いもつかない超人たちなのです。たとえメダルにはるかに及ばない成績で帰ってくる人も、我々凡人とは比べるべくもない超能力者だということもできます。
そんなことも考えながら、クラスの子どもたちとオリンピックを楽しみたいものです。