カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「パラリンピックが始まります」~子どもにひとこと話しておこう   

 今夜、パラリンピックが始まる
 なかなか光の当たりにくい世界
 この際、子どもたちに勧め、注目させ、
 今後の指導の糧としよう。

という話。 

f:id:kite-cafe:20210824063642j:plain(写真:フォトAC)

 

 

【今夜、開会式】

 今夜午後8時より、パラリンピックの開会式が行われます。

 紆余曲折はあったものの大盛況だったオリンピックに比べ、パラリンピックは注目度も低く、テレビ中継もNHK総合およびEテレはともかく、民放は各局が競って放送したオリンピックと異なってかなり控えめです。ただしパラ競技が民放で本格的に生中継されるのは今回が初めてとかで、大きな進歩があったことは明記しておくべきです。

 パラスポーツは今や「障害があるのにがんばっている人たちの競技会」から「超人たちのスポーツ大会」へと変貌しています。車いすバスケットボール車いすラグビー、あるいは車いすラソンなどは、車いすだからこその面白いのであって、代替のスポーツがありません。競技用義足を始めとするさまざまな装具の進化は、まだ緒に着いたばかりで、今後の進化も楽しみです。

 私はその言い方が失礼なのかどうか判断できずに困っているのですが、道具の進化と肉体の進化が厳しくせめぎ合っている様子そのものが、興味深くおもしろいとも言えます。
 道具を勝手に進化させない、必ず人間の手の届くところにとどめおく、それは科学の重要なテーマです。パラスポーツは常にそのことを思い起こさせます。

 

 

パラリンピックの歴史】

 パラリンピックの歴史は1948年のイギリスのストーク・マンデビル病院で行われた競技会始まるとされています。当時のストーク・マンデビル病院には戦争で脊椎を損傷した元兵士のためのリハビリテーション科があり、治療の一環としてスポーツが推奨され、この年はじめて競技会が行われたのです。
 以後、ストーク・マンデビル競技大会と名づけられたこの催しは毎年開催され、1952年には国際大会となって「第1回国際ストーク・マンデビル競技大会」が行われました。

 1960年の「第9回国際ストーク・マンデビル競技大会」はこの年オリンピックが開催されたローマで行われ、これが記録上は「第1回パラリンピック」となっています。
 4年後の1964年東京オリンピックでも引き続き東京で「国際ストーク・マンデビル競技大会(第13回)」が開催され、「第2回パラリンピック」として記録されています。しかし以後しばらくパラ競技会が夏季オリンピックの開催地で開かれることはなく、1972年ミュンヘンオリンピックで再び開催国に戻ってきます(ハイデルベルク大会)。

 1988年のソウル・オリンピックからは正式名称も「パラリンピック」となり、オリンピックとの同一開催が復活定着しました。冬季大会について同一開催が定着したのは1992年のアルベール大会からだそうです。

 

 

【名称と範囲】

パラリンピック」の名称は1953年、イギリスの新聞の見出しで使われたのが初出とされています。もともとはパラプレジア(Paraplegia:脊髄損傷等による下半身麻痺者)とオリンピック(Olympic)を重ねた造語です。

 これが一般化したのは1964年の第2回パラリンピック東京大会で、大会のポスターにも使用されました。しかし正式には「第13回国際ストーク・マンデビル大会」のままでした。

 1985年、IOCは「パラリンピック」を大会名として用いることを正式に認め、既に半身不随者以外の身体障害者も参加する大会となっていたことから意味を「ギリシャ語のパラ(Para:平行)とオリンピック(Olympic Games)の合成語」とし、「もう一つのオリンピック」として再解釈することにしました。

 参加者は肢体不自由と視覚障害が中心です。知的障害や精神障も同じパラリンピックの場で、というアイデアは繰り返し出され、2012年のロンドン大会以来2016年リオデジャネイロ大会、2020東京大会と受け継がれてきましたが、過去に知的障害を装って金メダルを狙ったアスリートがいたこともあって懐疑的な立場もあり、2014年ソチパラリンピック、2018年平昌パラリンピックでは知的障害者の参加はありませんでした。
 背景としては、知的障害や精神障害のための国際競技会「スペシャル・オリンピックス」が存在するという事情もあるのかもしれません。

 また、パラリンピックには聴覚障害の部がありません。聴覚障害のためには「デフリンピック」というパラリンピック以上に歴史のある立派な国際大会があるといった経緯や、さまざまな事情があってのことです。しかしやはり不自然な気がしないでもありません。

 今回の大会では160を越える国と地域から4400人以上のアスリートが参加し、22競技539種目で力を競います。子どもたちと一緒に楽しみたいですね。