「サンタは実在する1」〜何のために勉強をするのか(付録)

 クリスマス・シーズンです。
 私はかつて中学生相手に「サンタクロースは実在する」という話を20分もかけてやったことがあります。
 大切な授業時間を使っての話ですからどこかに教育的配慮がなくてはならないと思い、最後は「だから勉強はしなくちゃね」といった教訓めいた話にまとめましたが、ほんとうは私自身がおもしろがって話したことです。
 ただし、これまでの知識を使い、あれこれ調べて組み立てて遊ぶ私の姿は、それ自体が勉強をすることのひとつの意味を示しているとも言えます。

 勉強は遊びの役に立つことがある――もしかしたらそれが、「勉強をしなければならない理由 その4」なのかもしれません。
 (以下、多少手を加えて今年風にしてあります)

【サンタ、フー?】

 サンタさんについては昔は分からないことも多かったのですが、最近の科学の進歩のおかげでだいぶいろいろ分かるようになって来ました。今日はそうした研究の結果、サンタさんについてどこまで分かってきたか、そのお話をします。

 まず名前ですが、「サンタクロース」の「サンタ」は「聖」とか「聖なる」という意味、「クロース」は普通の人の名前です。英語ではセイント・クラウス、イタリア語・スペイン語・フランス語ではサン・ニコラ、ロシア語ではサンクト・ニコライと発音され、オランダ語ではシンタ・クラースと発音されます。このシンタ・クラースがアメリカに渡ってサンタクロースになったみたいなのです。したがってアメリカではセイント・クラウスという言い方とサンタクロースという言い方の両方があるそうです。

 もとをただすと4世紀の小アジア(現在のトルコ付近)にいた聖人らしいのですが、このニコラウスには次のような話があります。
「ある日のこと、ニコラウスは、町に、貧しくて娘をお嫁に出すことができない家があるのを知りました。そこで彼は真夜中にこっそりその家を訪れ、煙突から金貨を投げ入れました。すると煙突から入った金貨は、ちょうど暖炉のそばにかけられていた靴下の中にはいったのです。そしてその金貨のおかげで、娘は無事、お嫁に行くことができたのです」
 もうこの段階で「真夜中にこっそり」とか「煙突から」とか、あるいは「靴下の中に」という、現在のサンタクロースの話の原型ができています。

 現在の棲家はというと、インターネット上にはフィンランドのロヴァニエミという村だという情報があります。インターネット・サイトもあります。

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 それによるとフィンランドの北部・ラップランド州の州都であるロヴァニエミの郊外にはサンタクロース村があり、お仕事中のサンタクロースが、いつでも温かく迎えてくれます。サンタクロース村は周囲を森に囲まれた、幻想的で小さな村。村を横切る北極線 (Arctic Circle / 北緯66度33分) をこえると、サンタクロースに会えるオフィスはすぐ目の前。その他にも、サンタクロース・ポストオフィス、カフェやおみやげショップなどがあり、村は一年中クリスマスムードに包まれています」
 この「お仕事中のサンタクロース」とか「サンタクロースに会えるオフィス」とか「カフェ」だの「おみやげショップ」などはかなり怪しいですね。

【サンタさんのほんとうの棲家】

 実は一般には、サンタさんはグリーンランドのいずれかの場所に住んでいるという説があり、その方が一般的です。

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 確かに写真を見るとそれらしい感じがします。グリーンランドは大きな島ですが、実はデンマーク領です。そして本国はこんなに小さいのですよ。

 さてだいぶ分かってきました。ここからサンタさんの謎に迫ります。サンタクロースはどのようにプレゼントを運んでいるのか、という謎です。

【サンタのお仕事】

 サンタさんが最初に訪れる国は決まっています。知っていますか?
 ニュージーランドです。なぜそれが分かるのかというと、世界で一番最初に12月24日を迎えるのがニュージーランドだからです。

 サンタさんはクリスマスイブの午後9時から12時の間にプレゼントを配布しているというのが定説でから、世界中で最も早く12月24日の午後9時を迎えるニュージーランドを皮切りに、オーストラリア、日本、いったんロシア極東部を回って東アジアの国々、北朝鮮から韓国・台湾・フィリピン・インドネシア、そこから再び中国に上がってインドシナ半島の国々と、南北にいったり来たりしながら、・東南アジアの諸国、インド という順に回っています。
 こんなふうです。

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 また、午後9時から12時という時間帯は地球上を東から西へ移動する帯として表現できます(下図)。

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 この帯は丸一日かけて右から左へ移動していくのですが、サンタさんの活動範囲もこの帯の中に限定されていて、その中を移動しながらプレゼントを配っているわけです。
 もし宇宙から眺めると、ひたすらこの狭い範囲を北から南、南から北へと行ったり来たりしながら、しかも全体としてはゆっくり東から西へと移動しているサンタさんが見られるはずです。

 しかしよく考えてみてください。今の話にはちょっとした間違いがあるのです。わかりますか?
 本当のサンタさんは南北に忙しく動いているだけ。東から西への移動というのはほとんどしていないのです。地球が回ってくれるから。
 そこで、こんどはこんな図にしてみます。

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 地球を北の方、北極から見下ろした図です。太陽が右のずっと先の方にあって、光を投射しています。つまりこの地球の右側が昼、日陰になる左側が夜ということになります。地球は北極から見ると左回り、要するに反時計回りに回っていることになります。

 時間を入れてみましょう。
 この、今まさに太陽の日差しが見え始めた部分(下のところですね)が午前6時の地点です。地球が回るにつれて、次々と新しい国や町が午前6時を迎えます。
 反対側が太陽の見えなくなる地点、午後6時です。地球の回転につれてさまざまな国や町が夜の領域に吸い込まれていきます。
 そしてサンタさんの活動時間帯、午後9時から12時までの部分が赤い線で挟まれた扇型のところに当たります。角度にして45度、その幅の中にさまざまな国や町が吸い込まれていっては出て行くのです。その扇型の中にいる町々が夜の9時から12時なのです。

 そうなると・・・分かるでしょ? サンタさんは世界中を走り回る必要なんかない、この赤い線の間にいて、北から南へ南から北へとひたすら行ったりきたりしていればいい、その間に地球がどんどん回っていってくれるのだから西への移動はほとんどしなくていいのです。
 面白いでしょ?

 ついでに言うと、12月24日の夜のサンタさんの働く時間は、午後9時から12時までの3時間だと思いがちですが、そうではありません。世界中の9時から12時を回るからずっと働き詰めです。
 じゃあ地球が一回まわる間だから1日24時間だな、というのも間違いです。答えは27時間。どうしてそうなるのか、ちょっと考えてみてください。

(この稿、続く)