「サンタは実在する2」〜何のために勉強をするのか(付録)

 昔、中学生に語った「サンタは実在する」の続きです。

 

著作者:Kick Back

 しかしそれにしても、サンタさんの仕事量は半端ではありません。世界中を回るのですから。

 

【サンタのお仕事2】

 現在の世界の人口を知っていますか?

 昨年まではこの質問をしても答えられる人は少なかったのです。けれど今年はほとんどの人が「地球上の男の数は35億」と知っていますから、世界人口はその倍の70億人だとすぐに計算できます

 そのうちサンタさんからプレゼントをもらえる12歳以下の子どもは何人いるのかというと、調べてもよく分からないのですが、およそ15億人くらいではないかと思います。

 昨日お話ししたようにサンタさんは27時間かけてその15億人にプレゼントを配りますから、一人当たりにかける時間も簡単に計算できます。

 27時間÷15億人=0.000000018時間

 なんかよくわかりませんね。分(ふん)に直しましょう。

 0.000000018時間×60=0.00000108分

 まだわかりにくいので秒に直します。

 0.00000108分×60=0.0000648秒

 なんと秒で表してもよく分からない。

 10万分の6.5秒ほどなのです。

 

 しかも実際には子どものいない場所を飛行している時間も長く、訪問時に子どもが起きていると別の家に行ってから再配達ということになるので飛行距離はさらに延び、一人ひとりにかける時間はものめちゃくちゃ短くなってしまいます。

 よく保育園の子や小学校の低学年の子が12月25日の朝に、「ボク、ゆうべほんとうにサンタさん見たんだよ、窓からスーッと入ってきて、出て行くの、見た」などと言ったりしますが、それは嘘です。嘘でなければ何かの思い違いか、夢です。わずか10万分の6秒のできごとを見ることなどできるはずがないからです。

【サンタは一人ではない(?)】

 そこから「サンタさんは実は何人もいて、手分けをして配っている」という説が出てきます。

ただしそれも間違いです。計算してみるとすぐにわかるのです。

 

 仮にサンタさんが複数いるとして、何人いるか計算してみましょう。

 一人のサンタさんが子ども一人につき5分かけてプレゼントを渡したとします。三人兄弟でほとんど同時に3個配れる場合もあれば、砂漠など何百キロも走ってようやく一個ということもあります。それらを全部平均して“一人につき5分かける”とするわけです。

 すると1時間に12人に配れることが分かります。27時間だと324人ですね。ですから15億人の子どもにプレゼントを配るために必要なサンタの数は、

 15億人÷324=4629629.62・・・・

 およそ463万人ということになります。

 これだけのサンタさんが空中を飛び回っていたら、いくらなんでも見つかるはずです。ソリを引くトナカイは一台につき9頭ですから、総数は4167万頭。そんなものが空中を飛び交って見つからないはずがない――。

 だからサンタさんが手分けをして配っているということは絶対ないのです。

 

【クロック・アップ=サンタが一人で仕事をする方法】

 実際にサンタさんは一人しかいませんし、赤鼻のルドルフを先頭とする9頭のトナカイに引かれたソリは一台しかありません。それが真実です。

(注:公式にはトナカイは8頭で、新参者のルドルフは正式メンバーではないという話も聞いたことがあります)。

 たった一人のサンタさんがたった27時間で世界中の子どもにプレゼントを渡すという偉業は、どうやったら可能になるか。

 実は「サンタ時間」とも言うべき特別な時間操作がそれを可能にしているのです。簡単に言うとサンタさんの24時間は私たちの24時間よりはるかに長いということです。

 これをクロック・アップと言い、仮面ライダーやセーラー・ムーンが変身にどれだけ時間をかけても敵に襲われない特別な時間操作と同じ仕組みです。

 有名な東大寺の「お水取り」でも、「天の一昼夜は人間界の400年に匹敵する」というクロック・アップを乗り越えるために、修行僧たちが二月堂の中を全力で疾走していたりしますが、「サンタ時間」はこれと逆で、私たちの世界で12月24日に起こることを、何日もかけてゆっくりやっていればいいのです。

 クロック・アップは私たちから見れば“加速”であって、サンタさんはわずか0.0000648秒につき一人の割合でプレゼントを配っているように見えますが(実際には早すぎて見えない)、サンタさんからすると一人の子どもにプレゼントを配っている5分間、私たちはほとんど微動だにしないで、止まっているように見えるはずです。その意味では私たちの方をクロック・ダウンする時間操作だと言ってもいいでしょう。

 こうして毎年、子どもたちは無事プレゼントをもらえるわけです。

【勉強は遊びに使える】

 さて、今日はサンタクロースの話をしましたが、この話、私たちの住んでいる地球が丸くて回転しているとか、日付変更線があってそこを境に日が変わるとか、その日付変更線も一本しかないとか、そういうことを理解していないとちっとも面白くありません。また、時間やサンタさんの人数の計算も、ある程度の知識・技能がないと理解できないことです。

 そもそも「サンタさんが本当にいるかどうか、科学や数学で考えてみよう」と思いつくこと自体、ある程度勉強していないと起こらないことです。

 勉強はこんなふうに遊びにも使えるのです。

 そしてたくさん勉強しておけば、ひととの会話もさらに面白くなります。

 例えば〇〇さん、あなたの小学生の弟さんは「ボク、ゆうべ、サンタさん見たよ」なんて平気で自慢しそうでしょ?

 でもそう言われて「ウソをつくんじゃない!。サンタなんかいるはずないじゃない」とかいってもケンカになるだけですし弟君も傷つきます。ここは一番、こう言って脅しておけばいいのです。

「嘘を言うんじゃないの! サンタさんは我が家に10万分の6秒しかいなかったんだから、見えるはずがないじゃないの!」

 すると弟さんは「やっぱりサンタはいるんだ」と自信を深めるし、もしかしたらこれを機にお姉ちゃんを尊敬しはじめるかもしれません。そして来年、また似たようなことをやればいい。その方がずっと面白いでしょ?

【その先にあること】

 サンタさんについて調べていくと、深まる謎も新たに分かることもたくさん出てきます。

 例えば「サンタさんはどのようにして子ども部屋に入ってくるのか」というのもいまだに解き明かされていない大きな謎で、煙突のない家の子どもは毎年とても不安がっています。この問いの答えはまだ見つかっていませんが、今日まで煙突がないためにプレゼントをもらえなかった例は一件も報告されていませんのでたぶん大丈夫でしょう。

 新たに知ったこととしては例えば、ドイツの古い伝承ではサンタは双子で、一人は紅白の衣装を着て良い子にプレゼントを配り、もう一人 は黒と茶色の衣装を着て悪い子にお仕置きをして歩くといいます。

 あるいはサンタさんは「クランプス」と呼ばれる二人の怪人を連れて街を歩き、良い子にはプレゼントをくれるが悪い子にはクランプスに命じてお仕置きをさせるとも言います。

 調べていけばまだまだいくらでも出てきます。

 もうすぐクリスマス。やっぱり楽しみですね。