カイト・カフェ

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「皆既月食」~理科室の模型だと、毎月そうなるんだけど・・・

 来週火曜日(21日)は3年4ヶ月ぶりの皆既月食が見られそうです。今回は「月出帯食(げっしゅつたいしょく)」と呼ばれる、欠けた状態で月が上ってくる月食のようです。
 学校付近は山があるので正確な時間は分かりませんが、本市だと午後4時40分ごろ、ほとんど皆既月食の状態で昇ってきた月が5時20分ごろ皆既を完成し、5時50分ごろまで続いてやがて部分食に戻り、ゆっくり光る部分を増やして午後7時ごろ終了すると言われています。

 月食は「太陽―地球―月」がほぼ一直線にならび、地球の影に月が入るところから起こる現象です。それについては小学校や中学校で勉強しますが、私は大人になってもなんだか理解できませんでした。理科室にあるあの模型をつかって考えるとそうしても毎月地球の影に月が入ってしまい皆既月食になってしまうのです。

 それを避けて月が地球の影に入らないように(かすりもしないようにと)モデルを動かすと、今度は太陽の光をきちんと反射せず、「毎月十五夜の月は欠けた月」になってしまいます。きちんとした満月ができないのです。それが長い長い40年にも及ぶ疑問でした。
 そして最近になって、(そんなこと早くにやればよかったのですがようやく)本格的に調べてみる気になりました。とにかくインターネットというのはこういうときに便利です。

 それによると月と地球と太陽の関係はこうなります。
 ピンポン玉よりかなり小さいボール(5百円玉《直径2・6cm》の回転体くらいのもの)を用意して、地球に見立てたソフトボール(直径9・7cm)の周囲を3mほどの距離を保ちながらまわします。これが地球と月との関係です。この3mというのがミソで、月と地球との距離は理科室の模型よりはるかに離れているのです。

 

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 そして地球(ソフトボール)に対して「月」と反対側1・2kmほど先にアドバルーン(直径10m)ほどの太陽を置きます。それが太陽と地球と月の位置関係になります。太陽はものすごく遠くに、ものすごい大きさで在るのです。それだけでも 地球の影に月が入るのはかなり難しそうです。

 さらに、月が地球を回る公転面は地球が太陽を回る公転面と5度ほどずれていますから、おかげで月は地球の影に滅多に入ることができなくなります。これが「満月のたびに皆既月食にならない」「十五夜の月は欠けることがない」の二つの条件を満たす条件です。

 私は自分が中校生のころ弟と一緒に見た皆既月食を、今でも忘れることができません。まだ小さかった弟は「世紀の天体ショウ」を母に見せたくて何度も誘うのですが、母はそんなことにはさっぱり興味がなく、ちょっと見上げただけですぐに家の中に引っ込んでしまいます。仕方がないので私が一緒に長い長い時間、飽きもせず(ほんとうは飽きていた)ベランダから一緒に眺めていました。

 皆既月食の月は古い十円玉のような暗褐色で、まさに巨大な球体が宙に浮いているという感じでとても気味の悪いものでした。以後何回か皆既月食にあっているはずなの、覚えているのはそのときの月だけです。