カイト・カフェ

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「金星の太陽表面通過」~100年に一度の天体ショー

 明日6月6日、今度は金星が太陽の表面を横切るのが見えます。これを金星の太陽表面通過というのだそうです。
 全国各地で見られる時間はほぼ同じ。金星は午前7時10分ごろに太陽に侵入し始め、午後1時50分ごろに完全に太陽から離れます。その間ざっと6時間半の大スペクタクルなです。

 今回の「金星の太陽面通過」は2004年以来8年ぶり。しかし8年間に2回も起こるのはとてもめずらしいことだそうで、その前に日本で観測できたのは130年前の明治7年、1874年12月9日のことです。そして今回見逃した人が次に観測できるチャンスは、105年後の西暦2117年12月11日、つまりおそらく二度と見ることはできないのです(5歳の子が110歳まで生きれば何とかなりますが)。

 金星は水星とともに他の惑星と異なって太陽系では地球より太陽に近い、つまり地球の軌道の内側にいる星です。したがって地球から見ると常に太陽にくっついて動いているわけで、金星の場合、太陽よりあとから山の端に沈む時は「宵の明星」、太陽の進路の先にいて日ノ出に先立って上ってくると「明けの明星」となります(水星も同様に「明けの水星」「宵の水星」みたいになっているはずですが、太陽に近接しすぎているのと金星よりかなり小さな星であるためよく見えないのです。目のいい人には見えるらしいのですが)。

 つまり金星は太陽の進路の前にいたり後ろにいたりするのですから、金星の太陽表面通過などしょっちゅうあってもよさそうなものですが、なぜかそうはなりません。

 実はそれは、太陽を回る金星と地球の軌道が同一平面にないところから生じる現象らしいのです。地球が太陽を回る軌道面を中心に考えると、金星の軌道面は3.4度傾いています。そうなると太陽と地球の間に金星が入って一直線に並ぶ瞬間は、二か所しかないことになります。

 つまり地球がA地点にいて金星がC地点にいる場合、そして地球がB地点にいて金星がD地点にいる場合の二回だけ。
 下の図では、それでもかなりの確度で太陽―金星―地球が一直線に並んでしまいそうですが、図の中の金星や地球は10分の1ミリの大きさもありませんから、めったに起きない現象ということになります。

f:id:kite-cafe:20210503180954j:plain もちろん金星の太陽表面通過を直接肉眼で見ることはできません。そこで先日買った日食メガネが役に立ちます、と言うか役に立つのではないかと思われます。思われます、というのは理屈上は見えるにしても、実際に見えるかどうかははっきりしないのです。

 不安なのは太陽の大きさです。金環日食のときは日食メガネを通してみる太陽の小ささに驚いましたが、あの中を面積比で太陽の3%にしかならない金星が動いて行っても、果たして私の目に見えるものか。

 それを試す意味でも、日食メガネを持ってくるのはいいことかもしれません。