シーナの出産の際、集中的にサイトやブログを調べたこともあって、以後、私は出産や乳幼児の養育・保育に関するネット上の記事を読むことが多くなっています。
多くはハーヴと同じ年頃の子を持つ親のブログですが、子は同い年でも親の年齢にはかなりの開きがあります。二人目、三人目ということありますが初産の場合が圧倒的です。家に最初の子どもの写真が異常に多いのと、同じことが起こっているのかもしれません。
子どもが双子あるいは障害を持っているといったブログも有意に多いように思います。あまり一般的でない場合、細かな点では情報も少ないですから、自ら情報を発信しながら必要な情報を集めて行こうとネットを有効に活用している様子がうかがえます。
いわゆる“妊活”で大変な苦労をされた夫婦も少なくありません。流産を何回も繰り返した上でようやく子どもを得たという家庭もかなりあります。
苦労された方には当たり前の知識だと思いますが、流産の確率は全妊娠の15%にも及ぶのだそうです。40代以上になるとそれが20〜25%にもなります。たまたま私の周辺にはそうしたことがなかったので、私はその点にまったく無知でした。
そして運よく生まれたとしても、何らかの理由で生後まもなく死んでしまうことも少なくありません。
ある夫婦は生後38日の娘さんを先天的な代謝異常によって失うのですが、あと十日ほどの命となったとき、医師と看護師に呼ばれ、子どもにしてあげたいことをできるだけたくさん挙げるよう依頼されます。
『子供さんにしてあげたいことを紙に書いてもらったら、できることをひとつずつ探していきます』
夫婦は一生懸命考え、19のことがらを記録します。
夫と一緒に、娘にしてあげたいことを考えた。
『してあげたいこと』というよりは、
『自分がしたいこと』になってしまった。
『赤ちゃんが生まれたら、することになること』すべてをしてあげたかった。
- 抱っこしたい
- 管をとりたい
- 管をとって写真を撮りたい
- 管をとった親子3人の写真を撮りたい
- ベビーカーでお散歩したい
- 手型、足型をとりたい
- 直接母乳をあげたい
- おふろにいれたい
- 爪を切りたい
- 髪の毛を切りたい
- 笑顔が見たい
- 耳掃除、鼻掃除をしたい
- 同じ布団で一緒に寝たい
- 服を着せたい
- 絵本を読んであげたい
- ビデオを撮りたい
- おむつを替えたい
- ベビーマッサージをしたい
- チューしたい
読んでいるだけで気持ちが沈んでいきます。
しかし、実はこのできごとは9年前のことなのです。
夫婦はそののち三度の妊娠を体験し、二度の出産を果たします。上のお子さんにはやはり先天的な代謝疾患があって今も苦労されていますが、二人とも元気の育っています。
両親の願いを一身に背負った子どもたちなのです。
(この稿、続く)