「保護者懇談会の持ち方」②

 これはわたしがそうしているという話で、理想的な姿でもこうすればうまく行くという話でもありません。しかし例というものはないよりもマシですから、参考にあるようならしてください。
 保護者との話し合いでは、まずその子の学校での様子を素描します。どんな人間関係を持っているか日々をどんなふうに過ごしているか、学習の様子はどうかといった点についてです。懇談会の場合、成績が手元にありますからそれを中心に話すとよいでしょう。

「子どもは三つ誉めてひとつ叱れ」という言い方がありますが保護者も同じです。良いところを三つくらい挙げないと一つが通りません。さらに言えば語る順番は「悪いことが先で、良いことはあと」です。持ち上げておいてから落としてはいけません。低いところから始めて持ち上げれば、高い位置で話が切り上げられます。その上で課題の解決のしかたを具体的に話します。

 誰でもやっていることですが、その場合こちらからお願いするかたちをとります。とてもできそうにないことは言ってはいけません。内心は“これくらいはやってほしい”と思うことの十分の一以下でも仕方ありませんから、できることをお願いします。
 ここまで話して懇談会の半分です。ここちらから言いたいことはここで切り上げます。

 それからゆっくりと「私の方からは以上ですが、何か気になることはありますか?」と聞きます。一年に一回の懇談会ですから、保護者の中には何か重大なことを抱え込んでこられる方もおられます。そしてここが危険なところです。何が出てくるかわかりませんから。
 この段階の心構えは「即答しないように話を振り向ける」です。中途半端な答え方をしてあとで訂正したり撤回したりするのは時間もかかりますし、取り返しのつかない場合も出てきます。

 学校運営に関することなら「分かりました、私の一存では答えられませんので教頭先生に相談して明日までにお返事します」と答えておきます。子どもどうしのことなら「相手もあることなので確認して明後日までに連絡します」と、かわし方を複数用意しておきます。
 この際もっとも大切なのは返答の期日を定め、きちんと遂行することです。“誠実”というのはそういうことです。正確であることとスピード感のあること、その双方をかなえなくてはなりません。

 それが終わったら、ゆったりと雑談をして過ごします。しかし気を抜いてはいけません。余計なことをしゃべって墓穴を掘らないように。

 家庭訪問もそうですが、懇談会で最も大切なことは“時間通りに終わらせる”ということです。待っている人のことを考えなくてはなりません。またされる人が「ああ前の人は難しい問題を持っているんだな。それにつきあってくれる先生はいい先生だな」など思うことはまずありません。みんな忙しい中で時間をつくって来てくださっているのです。平等に誠実でなくてはなりません。

 時間通りに終わらせるためにも、終了間際にのっぴきならない話が出てこないよう注意します。しかしそれにもかかわらずさらに長くかかりそうになったら、別の日に時間を設定するしかありません。「次の人が待っている」というのは決定的な理由です。遠慮なく言ってかまいません。また“あなたのために特別な時間を用意します”というのは十分に引き換えになるはずですから、その点でも遠慮はいりません。ただしたいていの場合、新しい約束をしようとすると「いえ、そこまでしていただく必要はありません」ということで切り上げられてしまうのが常でした。世の中にはひとこと言えばそれで済む話も多いのです。

 がんばりましょう。