「保護者懇談会の持ち方」①

 いよいよ11月も終わり、年末のあわただしい時期に向かいます。学校としては取りあえず保護者懇談会の準備をしなくてはなりません。私は家庭訪問だとか参観日だとか保護者懇談会だとかは大好きですから苦になりませんでしたが、若い先生の中には憂鬱な方もおられるかもしれませんね。実際、無理のないこととも言えます。
 私たちの世界は保護者の年齢を越えると突然楽になる面がたくさんあるのです。どんなに優秀でも保護者より若いとどうしても低く見られます。相手が低く見なくてもそう低く見られているように感じられて、気持ちが一歩引いてしまうのです。その分、負けです。
 私が保護者と会うのが好きになったのもかなり年を食ってからのことですから、若いうちは準備をしっかりしてひたすら耐えるしかないということもあるのかもしれません。

 さて私が保護者と会うのを好んだのはその機会を通して保護者をコントロールし、いわば私と保護者で挟み撃ちにする形で子どもの教育をしようと考えたからです。今風の穏やかな言い方をすれば、「学校と保護者が同一歩調で協力してその子の指導に当たろうとした」わけですが、そのためには直接はたらきかける場面がなくてはなりません。日頃からきちんとやっておけばいいことですが、特に「問題の少ない子」や「良い子」の指導はどうしても手薄になってしまいます。
 春の家庭訪問や保護者懇談会、参観日の学級懇談などは平等に全員に触れる機会なのでとても良いのです。個々の保護者を前にして、「この人をどう自分の味方にし、どう動かしてあの子の教育に繋げようか」、それがテーマでした。
 しかしそうは言っても保護者懇談会はせいぜいが15分か20分です。その短い時間で大逆転を果たそうとしてもムリです。本当に重要な問題は時期を外さず、十分な時間をとって適宜に行うべきもので、懇談会ではポイントを二つか三つ(たいていは二つ)に絞って、そこだけは伝えておこうと計画します。

 落ち着いた穏やかな雰囲気で話し合いを持ちます。そのためには雰囲気も大事でしょう。

 ときどき懇談会の場を窓越しに見ることがあるのですが、机二台を向い合せにして、顔と顔とが1m位の距離で話をしておられる先生があります。
 あんな近い距離で正面から見据える、その視線の辛さによく耐えられるものだとほとほと感心します。たぶん人間性の差もあるのでしょうね。それでうまく話のできる人はいくらでもいます。しかし私はダメです。普通の話なら良いのですが、難しい問題が出されて回答を求められたりする場面ではとても耐えられないのです。そこで8台の子ども用机を組み合わせ、四角に並べて懇談の場を作りました。その隣り合う二辺に座るようにするのです。これだといつでも視線を相手から逃がすことができます。資料を見るときも肩を寄せ合う感じにできて見やすいのです。
 四角に組んだ机の真ん中の空間にも机を置いて花を飾っておきました。
 昔の先生の中には、さらにお茶まで用意して飲みながら話をするという人もいました。男性がやると何か嫌味な感じになりそうなので私はやりませんでしたが、“落ち着いて話す”ためにはいい方法かもしれません。
 言い忘れまたが、廊下に子どもの作品や作文などを置いておくのも良いでしょう。待ち時間の間に見ていただき、それが話題の糸口となることも少なくないからです。

(この稿、続く)